魔王軍というレベル

・・・恐ろしいものをみた。

俺は、英雄や逸脱者という強者に驚かされた。だが、考えてみればそうだ。



ケガが癒え切っていないとはいえ、圧倒的強者の夜の瞬きチェイスアロウ。

彼女を2名の傭兵(乱入してきた剣士も入れると3名)、おまけ程度だが100万G・・・現地チャージするとさらに数倍のコストを使っての、ようやくの討伐。


ほかの地区での戦闘もまだ続いている。

これが・・・魔王軍。


「・・・魔王というのは、いったいなんなんだ。」


ルフェルは口を開く。


「かつて。王国と帝国は討伐軍を組みました。英雄級が20名、逸脱者が80名の合計100名。


それどころか我々は、人類はいまだに能力はおろか、魔王の姿すらしらない。そしてそれを打ち倒すという勇者も、いない。


キョウ。あなたが無力を感じているかもしれませんが、


「・・・・・・。」


想像の上の、さらに上だ。

これは、個人の行商で稼ぐなんてレベルでは足りないかもしれない。日銭を稼ぐレベルではなく、もっといろいろと考えなくてはならないのかもしれない。


「ですがキョウ。少しだけ腹を割って話しましょう。私はあなたに・・・いえ。あなたたちに期待をしています」


「は?」


「私だけではありません。私の上、さらにもっと上も。追い詰められた、それでもあがき続ける人類にとって、来訪者と、友好的になりえる可能性がある魔神というのはそれだけ大きな希望なのです。」


おもわず息を、飲む。

俺にそんな価値が、あるわけがない・・・。


「そんなわけないという顔をしてますね。・・・・ええ、その通り。あなたはまだ、何者でもない。ですが・・・


。」


普段の軽い受け答えではない。

俺の手を取り、おそらく魔拳の騎士ルフェルとして、帝国の武装貴族として彼女は言葉を紡ぐ。


「ですから・・・願わくば我々が味方でいられますように。あなたの行動と意思に、祝福を」


「はぁ。いちゃちつくのはその辺にする」


「きゃっ!!」


影から夜の瞬きチェイスアロウが姿を現す。


「あ、あなたね・・・!!いちゃつくって、私はまじめな話を・・・!」


「はぁ、どうでもいい。余から見れば、不安に揺れる好青年を誑し込む年下女にしかみえなかった」


「んなっ!!」


赤くなるルフェル。

まぁ、いいや。そんな雰囲気でもなくなったしな。


「チェイスアロウさん、お疲れ様。戦線は、もういいのか?」


「はぁ。まだ戦闘が続いている場所もあるけど、離脱。体が持たない。・・・はぁ。それより、さっきは援護、助かった。借り一つ」


「ははっ、高く売れたみたいでよかった。ほかの2人・・・3人は?」


「気絶中。救護テントに放り込んできた。・・・はぁ。移動する。2人が起きたら話を聞きたい」


「えぇ。俺も、チェイスアロウさんに、話したいことがあります。」


「はぁ・・・そう。めんどうくさそう。でも、余の目的ははたせる」


俺たちは救護テントに向かうことにした。いろいろ、話さなければならない。


俺のいままでと、そしてこれからのために。

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