情報収集とコネ
「知らない天井だ(2度目)」
よく寝た。
時間は昼頃。いい感じに小腹もすいた。
「おはよー。良いご身分だねー?キョウくんにお客さんだよー?」
「俺に?客??」
響くノック音。
「失礼する。」
入室してくるのは、騎士・・・?か?
引き締まった細身の体。日に焼けた肌。強い意志を感じる吊り目の瞳。
推定、10代後半の少女と女性の中間のような風貌。
「ミドウ キョウ殿だな?私は帝国の武装貴族、魔拳の騎士ルフェル。陛下と魔神殿の話し合いが終わるまで、貴殿の護衛と案内人を請け負うものだ」
知識インストール
帝国 武装貴族⇔帝国が抱える特記戦力。貴族としての特権を持つが、その特権は血筋によるものではなく国家の剣となり、盾となる武によって与えられる。この武装貴族のうち最高戦力と呼ばれるものは8柱武貴と呼ばれる。」
「・・・護衛?・・・話し合い??邪神じゃなく、魔神?いったい何の話だ???」
「あーあーあー、そーだ、そーだね、そーだった!そのあたりの話、してなかったねー」
忘れてた、と舌を出す邪神。
「えっとね、端的にいうと。ボク、邪神のことをこの世界では、過去にあった戦争になぞらえて魔神と呼ぶみたいでねー。占星術師がボクの気配を察知してさー大変!で、結果として帝国の最高戦力が送り込まれて、でもボクは以前にこの世界に降り立った同族とは違う。何も戦う理由もないから、それを理由に取引したってわけさー。それが、【人族がボクとキョウに危害を加えない限りの殺傷不可】と【ボクと、人族の王の話し合い】というわけさ!」
「・・・おまえな。そういう大事なことは言っておいてくれよ。」
ん?
待てよ、ということは・・・
「おい。つまり、俺が気絶させられて運び込まれたのってオマエのせいじゃないのか?」
露骨に目をそらす邪神。
「いやー、まー、そういう、見方もできなくはないかなー?でもさ、そこはほらー、拠点と、有力なコネを提供したということでチャラにしてくれないかなー?」
「コネ?どういう意味だ??」
魔拳の騎士ルフェルに視線も向けながらいう邪神。
「言葉通りさ。ボクと、人間たちの停戦は【人族がボクとキョウに危害を加えない限り】という条件の下で遂行される。つまり、彼女は監視でもあり、護衛さ。キミ事情を知らない人族が、危害を加えないように、ね。
そしてー。もちろん僕がやるか、どうかは別にして、王族や国のお偉いさんたちは、ボクの機嫌を損ねたくないはずさ。つまり、監視ではあるけどある程度は便宜を図るようにも言い含められているはずさ。違うかい?」
「・・・ええ。もちろん何事にも限度はありますが、あなたはもちろん、同行者のキョウ殿にも可能な限り、協力はするように言われております。」
「そっかー。と、いうわけでキョウ。確かにボクのせいで、キミの身を危険にさらして気絶させたのはボクの落ち度さ。
その代わり、一時的にとはいえゆったりできる拠点と、【今のところは絶対に裏切れない戦力と現地のコネ】を手に入れた。これで、チャラにならないかなー?」
ふむ。
・・・考えてみる、が。特に不都合はない。せいぜい、チートを使う瞬間を見られるわけにはいかないのでその程度だろうか。十分にプラスだろう。
「・・・わかった。その件はチャラだ。
と、いうわけで、魔拳の騎士ルフェルさんだっけ?短い間だしいろいろと手間はかけるかもしれないが、よろしく頼む。呼び名も、キョウと呼び捨ててくれて構わない。」
「承知した、キョウ。私もルフェルと呼んでくれ。良い隣人となれることを願おう」
よし!
とりあえずは情報収集からだな。
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