011.逸脱者の戦い

『レディース!アンド!!ジェントルメン!!


はじまりました、闘技場のメインイベント!!


本日はなんと、逸脱者同士の戦いだ!!』


----ワァァアアアアア!!

--------イイゾー!!


そこにあるのは、熱気。

だがそんな熱気が気にならないほど、闘技場の戦闘舞台は熱く熱く、視線によるぶつかり合いが起こっていた。


『赤コーナー!

なんと、王国の特記戦力『王宮魔導士』の一角!!挑戦者、炎の歪カールベルト!!LVはなんと78だ!!』


----ワァァアアアアア!!

----ホンモノカ!?!?!?

----テイコクニクラガエカ?


『そして青コーナー!

裏社会、ダークタウンの猛者!!夜の瞬きチェイスアロウ!!

帝国武貴暗殺未遂、LV64だ!!』


----ブキアンサツ!?ムチャシヤガルゼ!!

----スゲェ、イキノコッテルンダ!!!!

----ナルホド、オウコクノショウコインメツカ?


「悪いわね。アナタに生きていられると、いろいろ困るの」

長身、赤髪。赤のドレス。

だがそれは、強靭な魔獣にて織り込まれた戦闘着。本気である。


「はぁ。直接依頼されたわけじゃないから確証はないし、ミスった余が言えることじゃないけどさぁ。暗殺を自分で依頼しておいて、捕まったら証拠隠滅にわざわざ隣国に。節操なさすぎないかなぁ」

対して、闇に溶け込みやすい黒装束、黒毛の獣人。だがカギ爪は大きく肥大しており、怪しく光る。


「節操無しというのは同感ね。でもごめんなさいね、私も仕事で来ているだけなの」

けだるげに、だが、殺意は隠さず。


「はぁ。めんどうくさいなぁ。でもそっちも仕事かぁ。じゃあしょうがないかぁ」

コチラもけだるげに。だが戦意は鋭く。


『よろしいか!?


それでは本日のファイナルラウンド、レディー!ファイト!!』


刹那。

観戦者の動体視力を超えて、引き裂かれる「赤」


「・・・はぁ?」

だが、揺らぎによって消える姿。切り裂いたはずが燃え盛る爪。しかしそれも目に留まらぬ一振りで鎮火する。


「炎で作った分身、ってわけじゃないよなぁ・・・攻撃でもない。いくら何でももろすぎる」


「おしゃべりとは、余裕ね!!」

突如。

何もなかった空間から、発生する炎。


「おっと!危ない。でも遅いね」

再びの、神速。かすりはしたが、その程度。


『おおっとー!!夜の瞬きチェイスアロウ選手、炎の歪カールベルト選手を開始と同時に引き裂いたと思ったら、逆に燃やされました!


しかし!チェイスアロウ選手も負けていません!

反撃を一瞬で鎮火し、さらに追撃の不可視な状態からの火炎攻撃も当たらない!!いい立ち上がりです!!』


「はぁ。魔導士・魔術師は近接に弱いというのが通例だけどなぁ。さすがに王国の最高戦力の一角。そんな常識はつうじないかぁ」


「そうね、残念だけど。王宮魔導士は同じ最高戦略の近接最高峰、騎士衛兵隊といつもしのぎを削っているの。この程度、日常茶飯事よ」


「はぁぁぁあ、面倒くさい。さくっと力を示して、戦場で適当に働いて、釈放されるつもりだったのになぁ。でも、やるしかないかぁ」


ここまでは、ただの「あいさつ」。

両者ともそれが分かっている。そして、逸脱者たちの戦いが始まる。



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