005.転生特典(チート)について
「ところでキョウくん。あなた、働いていた時の年収はいくらでした?」
「あ?年収??」
えらい俗なことをきくな。
「いいですからいいですから。力を使えばアナタの人生を覗けないことはないですが、面倒なんですよね。サクサク答えてくださいよ」
「・・・200万だよ」
少ない?うるせぇ。
世の中にはこの金額で生きている人間もいっぱいいるんだ!!
「ふむふむふむ!では、亡くなられたのが30代中頃として・・・おまけして40年分、8000万円相当を買い取りましょう!」
「は?買い取る??どういうことだ??」
「いーですか、キョウくん。今日日、【俺には本当は能力があったんだ!】【チートにより強大な力が!!】というのは、現代に不満を持つ人たちにとっての自己投影先として、非常に美味しい。俗にいう俺TUEEE!!ってやつです。
が!ボク、これにはもうおなかいっぱいなんです。落伍者の自己投影もコメディとしては眺めるのに否はないですが、自分の【プレイヤー】としてはもうすこし、プライドと品性が欲しいわけですよ!」
「言いたい放題だなおい」
「そこで!お金の力でファンタジー世界に転生してもらうあなたには、【人的資本】をもとにチート能力を与えようと思うわけですよ。」
人的資本?
「人的資本とはつまり、【あなたが生涯、いくら稼ぐか】を現金化して、その分【資産を持っているんだ】と考える方法です。まぁ、今得られる200万と、未来で得られる200万が本当におんなじ価値なのかという議論はありますが、それはいいでしょう。」
「よくわからないが・・・つまりはあれか?無制限チートの俺TUEEE!!はよくないから、金で異世界を渡り合っていくという前提の元、年収×年数の8000万を基準にチートを渡すと、そういうことか?」
「そうですそうです!さすが、理解が早い!!
あ、言い忘れてましたが、異世界の通貨単位や物価は、多少ものによって価格の違いがあれど100円が100Gです。この辺は変に考える必要ないですからね。有名魔法学校とかの某ファンタジー世界は金貨・銀貨・銅貨の交換レートがややっこしいことはありますが、あれはまぁ、複数国家において貴金属の値段が変動するが故の調整とかってことで、忘れてください」
「何のことか分からんが、まぁ、了解」
現物貨幣の弊害ってやつかね?まぁどうでもいいが。
「話を戻しましょう!キョウくんは、【8000万円のポイント】という括りの範囲で、ボクとつながる端末から【知識】を買えます!また、現代人がファンタジーで戦争中国家の傭兵や冒険者、正規兵といったワーカーと身体能力で張り合うなんて無理です!なんで、「金を使って、金を稼いで、金で異世界を渡り歩く」って目的で生きていくことになるわけです!」
「詳細は分からないが・・・まぁ、わかった。で、大事なところなんだが。異世界で俺が行うべきことは?」
「ありません。」
は?
「ない?」
「ありません。先に言いましたように、【あなたは自由】です。平和に暮らすもよし、魔王を倒すもよし、市政を豊かにするも良し。魔王に組して人類を滅ぼすもよし、です。ただし
楽しませてください
それが、転生の唯一の条件です。」
「・・・了解。せいぜい踊るとするよ」
そうして俺は、異世界後に立った。
~終了 プロローグ~
→NEXT 戦争剣士・スローと異界の行商人
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