004.どんな世界に旅立つのか?

「よし、決めた。異世界に行く。」

言いなりになるのは癪だが、俺はもうどん底だ。たとえ悪魔の契約であったとしても、これより下はないだろう。

・・・・・・ないよな??


「サスガ!素晴らしい思い切り!!その決断力があればこんな人生の終わりを迎えることはなかったでしょうに!!」


「うるせぇ。いろいろ転がり落ちたからこそ学んだんだよ。考える時間だけは腐るほどあったしな!」


「自覚があるというのと、反省ができるというのは大きな美点ですよ。いやまじめに」

うるせぇ(3回目)

とっとと話を進めろや。


「はいはいはい。ではまず、飛ばされる世界についてです」

おう。


「世界名、【大陸世界】。

人間、エルフ、ドワーフ、亜人、その他諸々。


いわゆる「人族」と呼ばれる種別が大陸の6割を支配し、王国と帝国の2国が存在する【人間圏】と、魔人や魔物といった「魔族」が支配する【魔王圏】が3割を支配する、東西で別れたオーソドックスな世界マップです!」


「マップいうな。・・・で、残りの1割は?」


「そこはいわゆる【未踏地域】。現地では混沌の地と呼ばれる場所ですねー。まあありがちなエンドコンテンツです」

メタいなおい。


「・・・嫌な予感しかしないが、まぁ、いい。文明レベルとか風土とか、そういったものは?」


「まー、オーソドックスな、ちょっと文明が進んだ異世界ヨーロッパ。ありがちな文化圏ですね。古き良き、人族と魔族が戦争し、未踏地域から災厄が溢れ、あなたみたいな異世界転生者が時折現れる、ごくごく一般的なファンタジー世界ですよ。」


「技術とか、文明レベルは?」


「シンプルな魔法と、現代から2~3世代落ちる科学。ただし、魔法と科学が混ざり合っているという意味では現代と変わらないですね。


あと、魔法に追加して剣やら武術やらと不思議なマジカル武術や武芸で、人間の身体能力はやや高め。オーソドックスにレベルという概念があり、スキルという概念があるというこのあたりも一般的なファンタジー世界ですよ」


「・・・聞く感じ、特に問題はなさそうだな。人魔で戦争やってるってこと以外は」


「ふっふっふっふ。キョウくん?キョウさん?この体だと呼び方が安定しませんねぇ。まーいいです!ともあれ、それは傲慢ですよ」

あ?なにがよ。


「現代でも、【戦争】はありますよ。資源が欲しい、思想が違う、この土地は我が国のものだ。それが戦争です。


あなたのそれは、です。


いいですか?

生きるということは、小さな【戦争】なんです。


そして勝利とは、幸せとは当たり前に与えられるものではない。

勝利し、勝ち取らなければならない。


己が不幸なのは神のせい、国家のせい、環境のせいだといっているからのっぴきならないところまで負けて、失意に沈んでいく羽目になるんです」


「・・・耳が痛いね。」

そう。

だから、俺は。

全てを失い、自由になった俺は・・・!!たとえ邪神にそそのかされているんだとしても、心に何かの火が灯ったのを感じた。気のせいかもしれないが。


「ふっふっふ。いいですねー。いいですよー。その情念。だからこそあなたを選んだ。楽しめそうです。


では、最後に。アナタに与える【転生特典】について。」

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