002.どこだ、ここ?
突然だが。
人間、身体やメンタルに負荷が掛かるといわゆる「時間が飛ぶ」という現象が発生する。
これは理屈では説明しにくいんだが、「なんとかなれー!!」という考え(もしくは祈り)、つまりは現実逃避を行うと、目の前で起こっていることが現実なのか夢なのか、はたまた妄想なのかわからなくなる。
自分の言動が不一致、いわゆる「言ってることとやってることがちげーだろ」状態になり、そんな言動だから人に相手にされず孤立して、さらに人と話さなくなって時間間隔・現実感がなくなるという悪循環に陥るわけである。
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(真っ白な空間)
「・・・どこだ?ここ??」
見渡す限りの白、白、白。何もない空間。ついに脳が焼き切れたか?それともこれも、現実逃避の妄想の世界か??
さて、どうするか・・・とぼんやり考え始めた時である。
「はいはいはい、【ミドウ キョウ】くん、こんにちはー!ようこそー!いらっしゃいませー!ボクの領域にようこそです!」
突如響く声。
振り返ってみるとそこには白い、だがところどころ毒々しいまでの紅、そして蒼い服を着た少女が立っていた。
人は見かけで判断するなというが、やはりこういうのと遭遇した時の感想としては見かけで判断するのが正解だろう。端的にいうと、逃げたい。
「えっと、どうもです。とりあえず帰りたいんですが、いいですか・・・?」
「わぉ!いきなり好感度マイナス!露骨ですねー!!いやぁまぁー?気持ちは分からないでもないですが、嫌悪感と忌避感、もーちょい隠したほうがいいですよー?」
うるせぇ、黙れ。
「っていうかー、帰る場所ない的な?この辺りの導入って創作界隈ではやりつくされたので端的にいうと、【あなたは死にました?】的な?」
「メタいなおい。っておいまて。つまりあれか?ここはあの世で、いまから俺はあの世行きってか?ここは俺の現実逃避の妄想でもなく?」
「えー、うーん、まぁ。そんな感じではあるんだけど、正直証明する術はないですし。よしんば本当に死んでいなくて、この世界があなたの妄想だったとしても、ぶっちゃけ生きながら死んでるみたいなもんですしどーでもよくないですかぁ?」
うるせぇ、黙れ(2回目)
何となく否定はしずらいけど、人間大なり小なり理想(妄想)と現実で折り合いつけながらやってんだよ。
「うんうんうん!素晴らしい、スバラシイ!その思考、まさに【人間】って感じだねー!受け答えのメッキもはがれていい感じですなー!」
「いや心を読むんじゃねーよ」
「読んでませんよ。アナタが分かりやすいだけで。」
マジかよ。それはそれでムカつくな。
「やーまー、はい。このまま掛け合いをしてるのも悪くはないんですが、正直食傷気味といいますか。端的に言いましょう、【異世界転生】、してみませんか?」
・・・またべたな展開だな。
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