第4話 特異点から生まれる獣。
その死体に近づき肌に触れた瞬間
表現するなら水を注ぐ音を逆再生したような音と花の香りがした後、死体の胸を食い破る様に中から黒い人型が出てくる、人型と言ってもマネキンみたく耳や鼻は付いてなく、目も無いらしく
木や地面を触って、周囲を確認している
耳耳 頭も予想外の状況で混乱気味だが
静かに逃げようとすると、鳥が音を立てて飛び立つ、その瞬間その人型の手が伸び、鳥を掴む
ギチギチと骨を潰すように手を閉じていき
鳥を殺してしまった
鳥の頭や羽はバラバラになり、地面に落ちると
その人型は落ちた鳥の破片にも反応し
また腕を伸ばして握り潰して、それを鳥が血になるまでずっと続けている、それを見た他の鳥も木から飛び立とうとするが、人型はもう片方の腕も伸ばし鳥を握り潰す、鳥が飛んだせいで揺れる木の枝も、葉っぱも握り潰そうとする
この人型はタレットのように音を立てた物だけを握り潰す、それ以外には何の力もない、そこから動こうとせず、足は木の根のように地面に食い込んでいる
耳耳 頭は人型が鳥を握り潰し終わった時から
微動だにせずしゃがんでいる
どれだけ静かに動こうと、そよ風の音よりも大きな音を出せば人型に握り潰されるだろう
かと言って何か人型の気を逸らせれる、音を出せる何かも持っていない
銃で人型を撃つか?いや、効かない気がする
それに効いたとしても骨を砕くほど硬いだろうから、完全に死ぬ前に握り潰されるだろう
もう八方塞がりだ、進む事も戻る事もできない
どっちにしろ目的は達成できなくなる
進む為にはこの人型を殺すか、逃げるかしかない
殺す方は置いておいて、まずは逃げる方法
例えば今人型は木の葉を握り潰したり、触って周囲を確認している、何故か死体の近くや死体には触ろうとしないので、一旦は動かない限り安心だろう、地面からゆっくりと小石を摘んで
投げてみる
カッ…という音を出し、小石は地面に落ちた
木の葉や鳥よりも大きな音に人型は腕をかなりの速さで伸ばして小石と落ちた地面を握り潰す
分かった事が2つある、人型は小石を砂に出来るほどの怪力だ、これは何となく分かっていた
そして人型は音を出したものを攻撃しているのではなく、音が出た所を攻撃している
目が見えていないから当たり前だが、これはかなり有益な情報だ
耳耳 頭は腕をできるだけ遠くに伸し、そこで
フィンガースナップ、指を鳴らし、すぐに腕を戻す、すると人型は耳耳 頭の腕を握り潰す
のではなく、指を鳴らした所をしきりに握ったり
触ろうとしたりする、もしかしたらこれで逃げれるかもしれない、でも鳥が飛び立つよりも早く、いや、さっきの小石の時よりも早く走れるか?
また振り出しに戻った
進行度50%
続く
ストレス 死人に口なし @Nounashi_Oroka
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