第2話 未熟な魂は霊を呼ぶ
死体から培養土になった先人達を踏みながら
樹海の奥に進んで行く
無心で手と足を使って歩いていると
掴みやすい棒と鉄の匂いがすることに気づき
顔を上げて霧の中にある見えづらい錆びついた物をよく見てみると、パイプが通っていた
掠れてよく見えないがちゃんと
「ガス」とか
「水道」とか
書いている、昔は使われていたのだろう
その中で何も書いていないパイプがあった
掠れて消えたとかではなく
今でも整備されているように綺麗で
本当に全て銀色で何も描いていない
何かある気がして、中心に行くのを外れ
そのパイプに沿って動く事にした
パイプに沿って歩くこと数日
その銀色のパイプは半分埋まって、半分出ている歩いている途中、気になって少し手で掘り出して見ると、水が「どろ…」と出てくるので直ぐに埋め直した、やっと思い出した、自殺する為にこの樹海に来たんだった、耳耳 頭は心がすぐ揺らぐ
それをどうにかするために、首吊りロープを借りて自分の腰に巻きつけ、そこらにある頭蓋骨を幾つかぶら下げた、罰当たりかもしれないが
これでもう目的を忘れる事はないだろう
パイプに沿ってきた道を走って戻り、パイプを見つけた場所まで直ぐに付いた、今まで歩いていた方向にまた進み始めると、さっきまで夜だった空が、いつの間にか昼前になっていた
きっと諦めない限り永遠に挑戦させてくれるのだろう、進まなければあちらも進んでくれない
なんと対等なのか、時間というのは人間が解明
できていない謎の中でも大物だ
それが私一人のために動いたり止まったりする
忖度や何かではない
挑戦者に対する敬意が感じられる
その敬意に応えるためにこちらも進み続けなければ、と進み続けていると
開けた場所に出た、先程までの鬱屈とした木に囲まれた檻とちがい、背の低い草が何キロか続いている、だが、遠くの方を見るとまた鬱屈とした木々がまた続いている
この樹海のおおまかな形は円形だ
樹海の中にある物や地形もだいたい円形
中心から波紋の様に全ての物が作られている
さっきのパイプだって反対側も探してみれば同じようなパイプが見つかるだろう、この開けた場所も大きな円形にできている
その開けた場所を進み、また樹海に戻ると久し振りな匂いがする、腐った肉の匂いだ
樹海にはまた新鮮で
腐ったばかりの死体が、溢れていた
久し振りの光景に少し懐かしさを感じながら
高揚を隠しきれないほどに死体と肉を踏み
首吊ロープとそれにぶら下がった物を掴み
進み続ける
照り付ける太陽がに目を引かれる、不思議と眩しくない、太陽の方向と樹海の中心がぴったり合っている、多分これは方向がわからなくなった人への救済措置だろう、樹海、ここまでしてくれてありがたいが、自分の行くべき方向はわかっている
ありがとう、もう少し待っていてくれ
進行度34%
続く
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