第44話 はじめての捜査


結局、たぬきのデカ長が麻由についていき、

神社を調べることになった。


「こっち」


 少し前、麻由はここで確かに『変なもの』をみた。

みたことも無い機械に囲まれ、老人が作業をしている謎の地下室だ。


 神社の敷地内は遅咲きのイチョウの葉っぱが散って、足元が金色だった。

そしてイチョウに咲き変わって黄金バラの木と、ゴールデンフライデーの木の花が咲き誇っていたので、空も金色で、

木の上から、金殿伝鳥や黄金筋肉鳥が、冬の空に映えるコーラスを奏でていた。



 麻由とたぬきは、一応、神社でお参りをすることにした。麻由はお小遣いの十五円。たぬきは、ローレルの葉っぱを一枚、

賽銭箱に投げ入れて、三礼三十拍手、一礼を済ませた。


 麻由は、神社の境内の後にたぬきのデカ長を連れて行った。

数日前は確か……神社にそぐわない金網が設置されていたと思うが、なぜか取り除かれていた。


 麻由とタヌキのデカ長は、境内の裏までやってきた。


「あれ?」


 麻由は地面をくまなく探したが、この間には確かにあったはずの地下に通ずる鉄扉が、すっかりなくなっていた。

試しに、扉があったはずの場所を軽く掘ってみたりしたが、土で手が汚れるばかりである。


 タヌキのデカ長は訝しげに顎に手を当てている。


「本当に、ここにあったの」


「何がだい」


「地下室」


「地下室だって? それは何の地下室だい?」


「わからないの。」


「だけどお嬢ちゃん。ここは神社だよ? 神社に地下があるなんて聞いたことがない」


「でもあったの! 麻由見たもん!!」


 その後、麻由は30分はあたりを掘ってみたが、あまり神社を汚すのは良くないとデカ長に諌められ、

今日のところは諦めることにした。

 麻由は、神社の境内の下で口を尖らせていた。

タヌキのデカ長は、即席のカフェオレオリジナルブレンドを煎れて、麻由に振る舞った。

 どのあたりがオリジナルブレンドなのかというと、緑茶の色と味なのである。


 麻由とタヌキのデカ長が、神社の境内に腰を下ろして、カフェオレを飲んでいる。


「まあ、気にするな。本来ならあまりみだりにお巡りさんを同伴させてはいけないが、

 他ならぬ、ロールシャッハテストをクリアした名誉市民の君からの頼みだ。許すとしよう」


「嘘じゃないもん」


「嘘だとは、思ってないさ。こういうことはねお嬢ちゃん。時々起きることなんだよ。

 特にお嬢ちゃんの年頃ではね」


「でも本当だもん」


「うんうんうん」


 境内の前に、不自然に散ったイチョウの葉が積もった、黄金の小高い山がある。

空っ風が吹くとイチョウの葉を吹き飛ばした。

そこには、いつからそこにいたのか、カエルの怪異がぼうっと……空を仰いていた。


「「あ」」

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