side蓮
魔女と話してすぐに尋問部のフロアに行った。
ここには受付はなく、長い廊下の先に扉がある。
その扉を開けようとドアノブを握るとバチっと手が跳ね返された。
ハンター協会が許可した者以外がここの扉を開けられないようにしているらしい。
斜め上には防犯カメラのようなものがついてる。どうやったら開けてくれるかな。
「俺を入れないならこのフロア全体を燃やすけどいい?」
俺がそうカメラに向かって言うと、数秒経ってからドアが静かに開いた。
開いたから入ろうとしたら体が透明な壁のような物に遮られた。
ドアを開けた人物は部屋の中にいて、見る限り肉弾戦が得意そうな体格のいい男だ。
「ここより先はお通しできません。」
そんなこと言われても俺は諦めないのに。
「本当に?俺はそうは思わないけど。」
「一階でお待ちください、規則ですので。」
どこかの狼と同じようなこと言ってるね。
ハンターって揃いも揃ってみんな頭硬いのかな?
まぁいいや、とりあえずここのフロアを燃やそうか。
俺はちゃんと忠告してあげたのに、頭の硬いハンターは本当に嫌になる。
俺は内ポケットからライターとスキットルを取り出した。
もちろん、このスキットルの中に入っているのは酒じゃない。
スキットルの蓋を開けて中身を全て床にぶちまけた。
かなり独特な匂いだからそろそろ分かってくれるかな?
「まさか……ガソリン…。」
「正解、よく出来ました。
足元にかなり散ってると思うから火傷しないようにね?」
右手に持ったライターの火を付けようとすると…
「ま、待て!!!待ってください!!!」
中にいた体格のいい男はかなり焦り始めた。
「じゃあそこの結界解いて?
早くしてくれないと手が滑りそう。」
「解きます!解きますから!!
おい!!結界外せ!早く!!」
男は中にいるであろう魔女か魔法使いに叫んだ。
そしてその後すぐに…
「中へどうぞ。」
男は俺を部屋の中へ招き入れてきた。
薄暗い部屋に入ると、部屋の中にいた人間たちは俺をとんでもない目で見てくる。
ついにイかれた、とか思われてるのかな。
まぁ、否定はしないけど。
部屋には大きな画面が三つあり、まるで監査室のような作りだ。
俺は真ん中にある一番大きな画面に注目した。
真ん中の画面には不安そうな小鳥ちゃんと、そんな小鳥ちゃんに淡々と質問するハンターが一人映っていた。
あの馬鹿狼は何をしてるんだ?
「白狼煌牙はどこにいるの?」
何で側についてないんだ、小鳥ちゃんに何かされたらどうする。
「あ…あの…それが、白狼は別件で入っておりまして…。」
気弱そうな男がそっと左上の画面を指す。
白狼は別の男の尋問をしていた。
「アイツは誰?」
「今回のアパートを倒壊させたヴァンパイアです。ヴァンパイアの尋問は人間以外がしないといけない規則なので…。」
人間が尋問なんてしたら簡単に殺されるだろうから妥当と言えば妥当なのかな。
左上の画面を見ていると、とても成功しているとは思えない。
白狼は痺れを切らしてヴァンパイアをボコボコにしている。
尋問なんて表向きの言葉だ。
このフロアに入った瞬間から暴力を約束されたも同然。
つまり、小鳥ちゃんがいつ手を上げられるか分からない状況だ。
白狼はそうならない為に急いでやってるのかな。
その心意気は認めるけど結果が出ないなら意味がない。
「ねぇ、あの左上の尋問。
あれ、俺にやらせてくれない?」
見る限り、俺の方が適任だ。
「そ、それは了承しかねます、本来この部屋ですら関係者以外は立ち入り禁止なので…。」
だから何?って話なんだけど。
「でも俺は入ったよ。実際、悪いことなんてしてないでしょう?俺をあの部屋に行かせてくれるなら今日はみんな定時で帰れると思うよ?」
白狼にボコボコにされても何も言わないような相手だ、みんな徹夜を覚悟しているはず。
「そっち側が困る事はしないから部屋に案内してくれない?俺は小鳥ちゃんと早く帰りたい。」
家に帰ってすぐ、小鳥ちゃんを俺のものにするから。
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