第2話
突然のことにルークは驚きを隠せなかった。
「こ、これは…僕の記憶??」
なかなか理解するのに時間がかかる。
どうやら前世では不動産営業をしていたらしい。それも新たなマンション建設やショッピングモールなど幅広く担っていた。
特に某ショッピングモールとはかなり関係がよく多くの地方都市に出店するための舞台整えてきた。
「かなり優秀だったんだな…」
そんなことを呟いていると近くにいた作業員が近づいてきた。
「ルーク様!ご無事ですか!?」
心配そうに話しかけてきた。
「あぁ、大丈夫だよ。今日はこれで失礼するよ。」
ルークはそう言うとナート川の工事現場を後にした。
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帰りの馬車の中でルークは街並みをずっと眺めていた。
突然前世のことを思い出したことで少し何も考えない時間が必要であった。こういう時は何も考えずにぼーっとするのが1番である。
ナート男爵領の領都ナート。リステリン王国の全ての貴族が治める領地、そしてその領都の名前は同じである。
ナートの街はさほど大きな建物、高い建物は無い。いわゆる田舎である。
店と言っても個人商店しかない。
なぜなら人口規模もさほど大きくないからである。領都の人口はわずか3万人程。領地全体でも5万人程である。
前世の記憶が蘇ったからか領都の状況を見ていままで感じなかったことを感じる。
「この街ってほんとに何も無いな…お店も少ないし…こんな不便だと外からも人が来てくれないよな…」
今まで感じなかったこと。そしてルークはあることを閃く。
「これって前世の知識を活かすべき状況では!?」
ルークは屋敷までの馬車の中で色々と考え始めた。
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ルークが考え込んでいると気づけば屋敷に到着していた。
そして着いてすぐに晩御飯となった。
ダイニングに向かうと既にマルクとサナが席に座っていた。
「ルーク、おかえり。視察はどうだった?」
開口一番マルクが視察について聞いてきた。
「父様が懸念していました、予算の追加はなさそうでした。事業の進捗状況も順調です。今日は新たな水門の設置も始まっていました。」
「おぉ、そうか。なら良かった。少しは財政も余裕ができるだろう。」
マルクの顔には笑顔が見える。
そして夕食をとり始めた。
食べ始めてしばらくするとサナが話し始めた。
「そういえば、大通りの花屋と酒場、あと何店舗かが閉店すると聞いたわ。なんだか寂しくなっていくわね。」
サナが口にしたのは街の衰退であった。
ルークが帰りに眺めていた街。
確かに活気は感じられなかった。前世で言えば地方の寂れた商店街といったところだろう。
「サナも聞いたか。私の元にも話は来ている。ますますナート男爵領は厳しくなっていく。何とかせねばな。」
ルークは先程の表情とは違いかなり険しい顔を見せた。
そんな状況を見たルークは一言口にした。
「父様、僕に考えがあります。地域活性化に大きな一手を!」
ルークは大きな声をあげた。
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