*焦がれる【2024/11/06】

 俺はずっとずっと、隣で笑う一番星に焦がれ続けている。


 緋月は、本当に凄いんだ。確かに少しだけ……いや、かなり勉強は出来ないけれど、誰よりも真っ直ぐで、誰よりも優しくって、そして何より、議題の陰陽師の孫娘と言われるだけの実力がある。


 俺は弱いから、誰よりも努力しなきゃいけなかった。死に物狂いで努力して、寝る間も惜しんで努力して、来る日も来る日も努力して、ようやく使えるようになった陰陽術も、緋月は「なんとなく」でぽんと使えるようになっていた。


 緋月はよく「あたしは紅葉がいないとだめだめだねぇ」と笑うけど、絶対にそんな事は無い。きっと、緋月がいなかったら俺は今頃死んでいる。あるいは、大切な人をもっと取り零している。


 それでも、緋月はいつも「紅葉は凄いんだよ」と笑っている。そんな事、無いのに。


 お願いだから、もう笑わないで、一番星。

 貴女の眩しい光に、俺はいつも焦がれている。

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