◈可愛がる【2024/11/01】

 これでもルネは、ジェノを最大限可愛がっているつもりなのである。


 会う度に『問題児』と弄るのも、彼が何かやらかす度に揚げ足を取るのも、彼に標的を定めて揶揄うのも全て、ルネなりに可愛がっているつもりなのだ。

 まぁ、しかし、結果はどうだろう。会う度に毛を逆立てられ、揚げ足を取る度にきゃんきゃんと吠えられ、揶揄う度に噛み付かれる。


 全く、バレッタとは大違いである。


「あのねお姉ちゃん、ジェノ先輩って本当に猫みたいなんだよ! この前も隊長がセナさんと話してる時、すっごくむすっとした顔でセナさんの事見てて――……」


 可愛い可愛い妹分の告げ口に、ルネは思わず笑声を吹きこぼした。


 嗚呼、全く、どいつもこいつも面白くって仕方がない。――可愛くって仕方がない。


 ルネはこの世の幸せを体現する様な笑みを浮かべながら、この愛しい者達を守り続けようと強く、ただ強く思うのであった。

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