第4話

七草 玄兎  視点

 少しだけ重みのある箱を渡して花園様が部屋の外に行ってしまった。ハロウィンのことを知らなかった俺だが、あのあとしっかりと調べた。なので、トリックオアトリートの意味も把握済みだ。


しかし、何かを企んだような顔があまりに可愛かったため知らないフリをした。そして今は、それをひどく後悔している。


 なぜなら、その衣装が入っている箱を開けると思いもよらないものが入っていたのだ。

「……女性用じゃないか?」

どう見てもスカートに見える。ご丁寧にウィッグまで入れられていた。花園様は俺にイタズラと言ったがこういうことだったのだろう。でも、もしかしたらという淡い希望を見いだして外に待機しているだろう花園様に声をかける。

「花園様?」

「どうしたの?もう着替えたの?」

ドア越しに話しているのため、少しだけ聞こえにくい声が帰ってくる。

「一応、確認なんですけど衣装は間違ってないですか?」

「……ふふ、間違ってないよ?」


少しだけ笑いが聞こえた気がする。確信犯だなと思いながらドアから離れて着替える。可愛いと思って知らないフリをした過去の俺を殴りたいと思いながらもそれを着る。


どうして俺の服のサイズをしっているのだろうと少しだけ苛立つ。慣れないスカートが俺の顔をされに歪ませていた。

 着替え終わってから十分が経過している。俺は腹を括りそのドアを開けて言った。

「はあ、これで満足ですか?花園様」

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