第12話

~あとがき~成木斗 澄人


 皆様、「君の記憶保管庫」を読んでいただきありがとうございます。成木斗澄人であり、月城湊です。


 今回の小説は浅桜さんと風倉と僕のための物語です。浅桜さんが亡くなってから、もう三年の月日が経過いたしました。僕らが浅桜さんのことを忘れないために、共に生きていけるようにという思いから今回の小説を書きました。もしも、僕や風倉が忘れてしまってもあの日々を忘れないために。無かったことにしないために。正直なところ、小説にしようかはとても迷いました。でも、浅桜さんが僕らに残してくれたように小説で刻むことにしました。僕らにとって、小説は記憶で大切なもの。だから小説にすることを決断しました。


 僕の記憶は今でも戻っていません。でも、浅桜さんがここに残してくれたから、明日を生きようと思えるんです。心のどこかに空いた穴が侵食していくような日々を浅桜さんが変えてくれました。だから、僕は僕や関わりのある皆様を大切に生きていこうと思っております。


 そして、話題は変わりますがお気付きでしょうか?当時はまたしても気が付かなかったのですが名前を僕らと同じように名乗っている奴がいたんです。まあ、風倉です。


 kazakura ryoを並び替えてkozaka raryuとなるんですよね。花琉巣さんの小説の表紙を担当していたイラストレーターです。これを知ったときはなんだか悔しかったですね。

 つまり、僕がいる高校に転校してくる前から連絡を取っていてお互いのことを知っていたんです。何も知らない僕だけが四苦八苦していたんです。まあ、結果的には浅桜さんの思う通りなんでしょうね。浅桜さんには敵いません。

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