第10話
月城 湊君へ
湊君がこれを読んでいるのならきっと私はこの世にいないのでしょう。だから、これは私の記憶です。湊君はすぐに忘れちゃうもんね。
私が今の学校に転校したとき、湊君が私のことを忘れてるからショックだったんだよ?やっと会えたと思ったのに。
まあ、事情が事情だからもう怒っていないけどね。叩いちゃってごめんね。思いっきりやっちゃったから次の日少し腫れてたね。
それから涼君も学校に来て色々とあったよね。私が入院したり二人が事故にあったり。その後に行った映画も楽しかったな。湊君は昔から怖いのはダメだもんね。実は涼君もなんだよ。怖いからわざと寝てるの。あのときのアイスは美味しかったなあ。炭事件は……そのごめんね?できる自信はあったんだよ。
旅行も楽しかったね。私、本当に何も知らなくてびっくりしたんだから。怪我もしてたのにありがとうね。花火もきれいだったし、お祭りも楽しかった。また、この三人で行けるとは思ってなかったから嬉しかったの。その後に告白してくれたの嬉しかった。もう私はいなくなるって分かってたのに言ってくれて、私を好きになってくれてありがとう。約束を思い出してくれてありがとう。私も湊君が大好きなの。今も昔もそれは変わらないのです。私は一途な女だからね。
嬉しかった。私はこの先もずっと湊君の横にいたかった。でもそれは叶わないからせめて私のことを覚えていてほしいなって。湊君と過ごした日々を大切に私は思っている。だから、もしも私のことを好きでいてくれるなら覚えていて。今度こそ、絶対に。
そして、ちゃんと生きてね。私のことをを追わないでよ?そんなことをするなら湊君のこと嫌いになるからね。学校にもちゃんと行くんだよ。湊君は私がいないとなにをするか分からないからなあ。心配なんだよね。何かあったら涼君に相談をするとかして一人で抱えないこと。約束ね。
私は短い人生だったけど幸せでした。人って愚かだから、失わないと気づかないこともあるんだよね。そして、私はこの人生が命の短い人生だと知っていたからこそ、その時間を大切にできた。でも、そうじゃない人はその事に気がつかない人が多いと思うの。だけど湊君は大切にしてね。私は湊君が笑顔で幸せそうに生きている姿を天国で見守りたいから。
今まで本当にありがとう、湊君 さようなら
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