第5話:耳年増な紅子ちゃん。
「子孫ね」
「あ〜紅子ちゃんたち種族、絶滅危惧種だからね、やっぱりそこに拘るのか」
「子供ができなかったら大変でしょ?だから早い方がいいの」
「つうか、妖怪って座敷わらしってエッチできるの?」
「妖怪だってエッチできるよ・・・ね?だから今夜あたり・・・」
「夕べ会ったばかりで今日俺のマンションに来てそれで今夜エッチしようって?」
「あのなぁ・・・もう少し冷静になって考えた方がよかない?」
「エッチするまえに愛を育むとかさ」
「それや子孫も大事かもしれないけど、愛情のともなわないエッチって味気ないよ」
「ただするだけだろ?それってただの処理だよ」
「俺はそういうのイヤだからな」
「愛?」
「そうだよ、愛だよ・・・愛し合ってそれでその人のことが欲しくて」
「抱きたいって思ってエッチするのならいいけど」
「私はヒロト君のこと好きだよ・・・彼女って言ったじゃん」
「愛でしょ・・・そこに愛はあるでしょ?」
「それじゃいけないの?」
「あのさ・・・それは紅子ちゃんの一方通行でしょ?」
「俺の気持ち完全に無視してるよ?」
「もう、面倒くさい人・・・いいじゃない彼女が自分の体、提供してあげるって
言ってるんだから・・・素直にエッチしたらいいじゃん」
まあ、小玉ちゃんともエッチしたしな・・・相手は座敷わらしってだけだし
女神も妖怪も変わんないか?
俺、基本的に妖怪フェチだし・・・。
「ところで聞くの躊躇うんだけど、紅子ちゃんってもう処女じゃないよね」
「なんで今時、そこに拘るの?」
「いや、それによっちゃ対応が異なるから・・・」
「処女だよ」
「平安時代から生きてるのに?」
「エッチしたいって男がいなかっただけ・・・生きた年数に関係ないからね」
「あ、そうなんだ・・・」
「ヒロト君、処女の座敷わらし抱いたら、いいことあるよ」
「幸運が巡ってくるかもね」
「まじで?」
「人から貰った宝くじ当たるとか?」
「馬券買ったら、もしかして?」
「だね」
「分かった・・・じゃ〜今夜しようエッチ」
「ヒロト君、すご〜く打算的」
紅子ちゃんは、まゆにしわを寄せて上唇を鼻の頭にくっつけた。
(可愛い・・・変顔してもめちゃ可愛い・・・本当にオオカミになって
食べちゃおうかな・・・)
「帰っちゃおうかな遠野に・・・ヒロト君、私利私欲に走ってる」
「なに言ってるの、そう言う状況に誘導したの紅子ちゃんでしょ?」
「だってヒロト君、私のこと愛してくれたないもん」
「だけど、帰って欲しくないな〜」
「帰って欲しくないの?」
「いや〜・・・そりゃ〜・・・俺的にはいてくれたほうが・・・フェチだし」
「なに?聞こえない・・・」
「やっぱり帰ろ・・・古民家に帰ってまたイケメン見つけよう〜」
「いや〜、やめといたほうがいいよ、そんなに都合よくは見つからないと
思うけどな〜」
「分かった・・・あのさ、正直に言う・・・遠野には帰らないでほしい」
「私が彼女って迷惑なんじゃないの?」
「そんなこと思ってないから・・・」
「帰って欲しくないの?」
「だね・・・」
「その理由を述べよ」
「理由って・・・」
「やっぱり遠野に帰る」
「待て待て、紅子ちゃんが帰っちゃったら寂しいじゃん・・・それにもう
そいう空気になっちゃってるし、何度も言うけど俺妖怪フェチだし、エッチするとか
しないとかに関わらず・・・」
「それって私のことを好きになっちゃってるってことでいいの?」
「紅子ちゃんは座敷わらしだけど魅力的な女の子だよ」
「ちょっと打算的になるけど・・・俺も可愛い彼女欲しいし・・・」
「ずっとひとりだったからさ・・・俺、紅子ちゃんをこの部屋に連れて来た時、
気づいたんだ・・・君が部屋に入ると空気感が変わったって・・・」
「それがとっても、ほんわかして心地よくってさ・・・」
「その時は言えなかったけど今の俺には必要なことだなって思ってる」
「だからさ、帰らないでほしんだ」
「ずっと俺のそばにいてよ・・・ね、ダメかな?」
紅子ちゃんはなにも言わず、
「大丈夫だよ・・・私、帰らないから・・・ここにいるからね」
どうやら大翔は、紅子ちゃんの小芝居にまんまとハメられたみたいだね。
案外、したたかで頭のいい座敷わらし。
ってか完全に浮気だな、大翔。
つづく。
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