第4話:スーパーで泣く紅子ちゃん。
紅子ちゃんが大翔のマンションにやってきて二日目。
まだ二人はお互い遠慮があるのか離れた場所で寝ていた。
次の朝・・・。
「紅子ちゃん・・・ちょっとさ、仕事一段落ついたから買い物一緒に行こうか? 」
「買い物?」
「そ、近所のスーパーに、ご飯の食材買いにね」
「行ってみる?・・・どうせ暇なんだし・・・」
「うん、行く」
大翔は紅子ちゃんを連れて、近所のスーパーに買い物に出た。
「スーパーとか来たことある?」
「スーパーってとこ自体知らない」
「だろうね・・・古い屋敷の中にずっと身を潜めてたんだもんな」
(スーパーってなに?って聞かれたら、説明するのうっといし・・・)
(もうね、なにそれ?って聞かれると、いちいち説明しなきゃいけないからね
またかって思うよね)
って言うか、なんにも知らないってことだから、紅子ちゃんはこれから
社会勉強か?
「ねえ、今夜エッチするの?」
「おお〜と〜・・・いきなりだな・・・唐突になに言ってるの?」
「そんなこと考えもしなかったわ」
「人間の男の人って自分の部屋に女の人連れ込んだらオオカミになっちゃ
うんでしょ?」
「え〜?」
「そんな情報どこで仕入れてきたんだよ」
「関川の伊三郎って河童のおじさんがそう言ってたの」
「それは一部の例で、みんながみんなそんな男だけじゃないよ」
「それにさ、そんな話こんなところでする話じゃないだろ?」
「あのね・・・言っとくけど俺はヤリモクでもヤリチンでもないからな」
「オオカミになんかならないの」
「それとも紅子ちゃんを食べちゃってもいいのかな?」
「だいたいさ、俺が紅子ちゃんを連れ込んだんじゃなくて君が金魚のウンコ
みたいに俺についてきたんだろ?」
「彼女だって勝手に決め付けて・・・」
「決め付けてって・・・ひどい」
「一目惚れしたから彼女になってあげるって言っただけでしょ」
「どっちでも同じだよ・・・自分で押しかけ彼女だって言ったじゃないか」
「そうだろ、押しかけてきたんだよな・・・」
「・・・・・」
「うそ〜まじで?・・・やめてくれ〜もうさ、そのくらいで泣くなよ」
「スーパーで下ネタは言うは泣くは、連れて来るんじゃなかったわ」
「もう買い物済ませて、とっとと帰ろう・・・」
「これ以上いると何言い出すか分かったもんじゃない」
大翔は買った食材をレジに持って行って精算した。
「帰るよ・・・いつまで泣いてんの・・・」
「ああ、俺が悪かったよ、少しきつく言い過ぎた・・・ごめんね、だからさ
機嫌直そうね」
「ほら・・・帰ろ」
そう言って大翔は紅子ちゃんの手を引いてスーパーを出た。
(先が思いやられるわ)
でも・・・そんなことがあったりしても、なにを口走っても憎めないんだ
よな・・・紅子ちゃんは・・・可愛くってさ・・・。
多分、俺、紅子ちゃんを好きになってる・・・座敷わらしなのにさ。
大翔は紅子ちゃんを連れてマンションに帰った。
「晩飯作るから・・・待ってな」
「本当に今夜、エッチしないの?」
「まだ言ってる・・・しないよ」
「そんなにしたいの?エッチ・・・」
「なんで、そこまでエッチにこだわるんだよ」
「私、したことないから、どんなもんなのかなって思って・・・」
「え?長く生きてるのに・・・未経験なの?今まで一度もないの?」
「古民家なんて泊まり客以外、周りはお年寄りのおいちゃんとおばちゃんばっか」
「さすがに私、おいちゃんとはしたくないから・・・」
「だから今はヒロト君だけが私の対象」
「そう言うの知りたいし経験してみたい年頃なの・・・発情期でもあるし・・・」
「発情期ってなに?猫じゃあるまいし、妖怪にそんな感覚あるの?」
「それは本能みたいなものでしょ、そう言う体の変化は子孫を残すために必要な
ことだよ」
「あ〜紅子ちゃんたち種族、絶滅危惧種だからね、やっぱりそこに拘るのか」
「子供ができなかったら大変でしょ?だから早い方がいいの」
「そう言うことなら、まあ話は違ってくるかな・・・俺はもっと下世話なこと
考えてたし・・・エッチって言うとね・・・子孫残すとかじゃなくて」
「つうか、妖怪って座敷わらしってエッチできるの?」
つづく。
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