第2話:小山田 紅子(おやまだ べにこ)。

「で、あなたがこの部屋に泊まったから、これ幸いと出てきちゃった」


「出てきちゃったって・・・まじで?」


なんだかな〜このパターン・・・よく似てるよな。

小玉ちゃんの時とまるっきり同じパターンじゃないかよ。

俺は女神とか妖怪とかと巡り合う運命なのか?


「私、座敷わらしの中でもチョウピラコってタイプなの」


「ちょうぴらこ?・・・座敷わらしにもタイプって言うか種類があるんだ」


「生き物で類や名前のないモノなんかあります?」


「あ〜言われてみれば・・・」


「じゃ〜君の名前は?」


小山田 紅子おやまだ べにこ・・・ただの紅子だったんだけど、小山田家に長くお世話になった

からね、苗字そこからいただいちゃった」


「おやまだ?・・・べにこ?・・・べにこちゃん?」


「で?あなたのお名前は?」


「あ、俺?俺は「出雲 大翔いずも ひろと


「ヒロト君ね・・・ヒロト君これも何かの縁だよね、私と仲良くしてもらえない?」

「さっきも言ったけど私、都会に出て行きたいの」

「だからヒロト君、エスコートしてくれると嬉しいな」

「あのヒロト君が旅館を後にする時、私もヒロト君について行っていいかな?」


わ〜これも小玉ちゃんと同じパターンだよ。


「え、なんで?」

「って言うかさ、この古民家で出会ったの俺だけじゃないでしょ?」

「他にもたくさん人が泊まったでしょ、なんで俺なの?」


「たしかにいろんな人泊まったけど私のタイプじゃない人ばかりだった

からね、その点ヒロト君は私のタイプだったから」

「実は私、ヒロト君を見て一目惚れしちゃってるの」

「それってヒロト君について行くってことに対する立派な理由でしょ?」


「自分の彼女が座敷わらしって迷惑?」


「か、かのじょ?・・・かのじょって勝手に・・・俺まだなにも認めて

ないし・・・」


「いいじゃないそんな細かいこと・・・押しかけ座敷わらしで・・・」


「いやいやいや、妖怪ってな〜・・・」

「俺ってなんでいつも変わった人に惚れられるんだろ」


「放っていかれたら私、死ぬから?」


「おえっ?今度は脅迫?」


「もしそんなことになったらヒロト君に不幸が降りかかるかもしれないよ」


「うそ〜それってもう選択肢ひとつしかないじゃん」


紅子ちゃんをよく見たら、うらめしそうに俺を見てるし・・・。


しょうがないな〜・・・放っては帰れないのか・・・俺も人がいいよな。

女神に座敷わらしって・・・。


まあ、着物は着てるけど見た目は普通の女性とあまり変わらない。

妖怪でもこれが化け物みたいだったら連れて帰るってわけにはいかないけど

誰かに見られても、この子なら連れてても大丈夫だろう。


でもさっきから臭うんだよな・・・臭いんだ。


あの着物いつから着てるんだろう?・・・たぶんこの臭いはあの着物だな。

それだとちょっと引いちゃうよな〜・・・。

妖怪でも服や着物とっかえたりしないのかな?


「紅子ちゃん・・・その着物いつから着てるの?」


「そうね・・・平安時代くらいからかな・・・」


?」

「ダメだ、そりゃ・・・話にならないよ・・・せめてその着物新しいのに

着替えてくれないかな?」


「臭くて電車にも乗れないからね」


「だけど着替えなんて持ってないもん」

「いっそ着物脱いじゃう?」


そう言うと紅子ちゃんは着物を脱ぎ始めた。


「いやいやいや・・・どっちにしたって裸の子も電車に乗せれらないからね」


「だって私、都会に出たいんだもん、誰かついててくれないと不安で都会に

なんか出ていけない」


「分かった・・・じゃ〜俺の着替えがあるから、それに着替えて」


「分かりました、仰せのままに〜・・・」


なもんで俺は、旅行用に持ってきていた着替えを紅子ちゃんに渡した。


「向こう、向いてるからね・・・それに着替えて」


「はい・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「どう?着替えた?」


「着替えました・・・」


その言葉を聞いて俺は振り返った。

そこにはとっても美しい女性の裸が目に前にあった。


「うそ、着替えてないじゃん、なにやってんの?」


「あはは、一度こういうことやってみたかったの」


「人を揶揄からかうもんじゃないよ?びっくりするだろ?」

「早く、服着て」


「大丈夫だよ、ヒロト君、私の裸見たから当分事故に見舞わることないから」


「なに?・・・そんなことある?」


果たして紅子の裸にそんな効果があるのか?


実際、その通りで大翔が乗って帰るはずだった電車だけど本当なら脱線事故

をおこして大惨事になるところだったんだ。

だけど大翔と紅子は事故に見舞われることなく無事に大翔のマンションに帰って

いくんだな、これが。


あ〜あ小玉ちゃんが神の国へ帰ったと思ったら次は座敷わらしと来たもんだ。

しかも俺の彼女って・・・勝手に決められちゃってるし・・・。


つづく。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る