詩・ポエム

冬がはじまる

今年の冬は、なんだか変だ。


去年はあれだけいた雪虫が、一匹もいない。

紅葉がまだ綺麗に色づいているのに、雪がちらつく。

白く染まったアスファルトを見て、「え、もう?」って思わず声が出る。


住宅街を歩けば、ぎゅるぎゅるとボルトを回す音が聞こえてくる。

みんな急いでタイヤを交換してる。

車を動かせなくなる前に、早く私もやらなきゃな……。

なんだか誰かに急かされて、秋から冬への駆け足。


いよいよ本格的に冬が来る。

雪かきのシーズンが始まると思うと、気が重い。

朝早くから冷たいスコップを握って、

汗をかいてから会社に行くのかぁ……めんどくさいなぁ。


雪道だって、大変だ。

凍った路面で何度もつまずきそうなる。運転も怖い。

冬靴の準備もしなきゃ。ダウンはクリーニングに出したんだっけ。


外を歩けば、指先が冷たくて、体の芯まで冷え切って。

石油ストーブの燃料費もかさんでいく、暖かさはただじゃない。


冬なんて嫌いだ。いっそクマみたいに春まで冬眠できたらいいのに。

家から出ないで、暖かい布団の中でずっと寝ていたい。


そう思いながらも、心のどこかで待ってるのは、

こたつの中で猫のように丸くなるあの時間。


寒い外から帰ってきて、家の中でぬくぬく過ごすひとときは、冬の魔法。

暖かい部屋の中で、みかんを食べる甘い時間。

一個百円のアイスだって、こたつで食べると格別に感じる。


そんな小さな楽しみがあるから、冬も悪くないのかなって思ったりすることもある。

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