第11話 自己紹介
興奮が落ち着くのを待って口を開く。
「俺の事を聞いてもいいが、改めてそちらさん達の自己紹介もしてくれないか?」
すると、星火さんと海さんの態度がしおらしくなっている。
「分かったわ...いえ、分かりました。では、私から自己紹介させて頂きます。」
気にしなくていいのにな。と思い苦笑してしまう。少しからかってみるか。
「おいおい、さっきまで俺の事ペチペチしてただろ?そんな態度取られると距離を感じて悲しいんだが...」
俯きつつ悲しげにそう言うと。
「え、いや、あの...いいの?」
星火さんの方は、さっきのツンツンした感じが戻ってきた。が、
「でも、僕達よりランクも圧倒的に上だし...それに、命の恩人である方に対して失礼なこともしちゃったし...」
なんて、海さんが言ったので
「俺って、同年代の友達が少なくて...三人と少し話してみたら気も合うし友達になれるのかと思ったのに...だめか?」
と、消え入りそうな声で言ってみる。...友達が少ないのは事実だ。
「逆に、僕達なんかでいいんですか?」
「敬語」
「僕達でいいの?」
かなり真剣そうな顔で聞いてくる。
「ん、二人ともからかわれてる。」
「お!よく気付いたな。」
夜奈さんは、俺が演技をしていたのに気付いたようだ。
「ん、ちなみに私は刀m...」
「はい、ストップ!それ以上は言っちゃダメよ!てか、なんで、それを知っているのかしら?」
思わずオネェ言葉が出る位には驚いた。マジでなんで俺の本名知ってんの?
「ん?見てた」
「あぁー、ちょっと前のやつか?」
「ん。」
あの初配信を見ていたようだ。
「だから、俺の本名知っていたし、カード見せた時も驚いていなかったのか。」
「ん、驚きはした。」
「どゆこと?」
「ん、途中からだったから顔しか見てなかった」
「仮面外した後から見始めた感じか」
「ん」
なるほど。そう納得していると、
「えっ!夜奈は、えー...月夜...さん?の顔を知ってるの?」
「ん、本名も」
「さん付けしなくていいぞー」
星火さんがとても驚いている。そして俺を見て質問してくる。
「というより!アンタ配信者なの!?」
「配信者って言っても、ちょっと前に初配信やったばっかだけどな。」
「うそでしょ...SSランクが配信をやったのに、なんで話題になっていないの?」
「さぁ?」
ホントになんでだろうな?
「さぁ?って、アンタねぇ!」
うんうん、星火さんはやっぱ、これよ!なんて思っていると、海さんがボソリと何かを呟いた。
「ズルい」
「「え?」」
「ん、どうしたの海?」
夜奈さんが問いかける。
「夜奈、ばっかズルい!」
「ん?何が?」
コテンと首を傾げる夜奈さん。はい、可愛い。
「夜奈だけ、月夜君の顔と本名知ってるのはズルいってこと!僕だって知りたいよ!」
いや、そこはどうでも良くない?
「月夜君!どうでもいいとか考えてるでしょ!」
何故バレた?
「かっこい...恩人の顔と名前くらい知りたいって思うのが普通でしょ!?」
海さんが少し顔を赤くしながらそう叫ぶ。噛んだのが恥ずかしかったのかな?
「そうよ!私もアンタの顔と名前を知りたいわ!」
こちらも少し顔が赤い。さっきから叫んでいるから酸欠気味か?
「んー、じゃあ後で教えるわ」
「「いいの!?」」
「まぁ、そこまで言われたらねぇ。でも、他言無用で頼むよ」
「「もちろん(よ)!」」
服が引っ張られたと思ったら、夜奈さんが話しかけてきた。一々行動が可愛くて萌える夜奈さん。
「ん、連絡先」
手を前に出して頂戴と訴えかけてくる。
「何故に?」
「セリアにあげた。なら私も」
謎の超理論を展開してくる。まぁ、夜奈さんならいいか。
「ねぇ?どうゆう事?」
「僕にも詳しく教えてよ」
星火さんと海さんが無表情で問い詰めてくる。ヤバい...久々に死を覚悟したぞ、今。
「...分かった。諸々含めて説明するから。とりあえず自己紹介の続きしない?」
一旦、話変えよう。
「ふぅーん。まぁ、いいわ。後で説明してもらうから」
「そうだね。僕も色々問い詰めたいことあるし。」
推しが怖いめぅ。でも、お陰で完全にいつも通りの三人って感じだな。まぁ、夜奈さんは通常運転だったけど...
「改めて、Dだいばーず1期生の「明空 星火」よ。獲物は双剣でやっているわ。あと、私の事は星火で構わないわ。敬称も不要よ。」
星火さんは...いや、星火は、スラリとしたモデル体型で金髪碧眼でツインテールのツンデレ美少女だ。曰く、母方の祖母がスウェーデンの人らしい。
続いては、
「同じくDだいばーず1期生の「空泣 海」だよ!僕は状況に応じて戦い方を変えるけど、いちばん得意なのは槍かな。僕も星火ちゃんと一緒で呼び捨てでいいよ!」
海は、Theスポーツ少女って感じの子だ。体も引き締まっているが出るとこは出て引っ込むところは引っ込んでいる世の女性が羨む体型だろう。身長も3人の中ではいちばん高くて165cm位はあるだろうか?無論、美少女である。
最後は、夜奈さんだが。目をめっちゃ見ながら。
「ん、「眠日 夜奈」。よろしく」
こいつ、目で何を言いたいのか訴えてきやがった。まぁ、伝わっているからいいけどさぁ。
「夜奈、適当過ぎないかしら?」
「ん、大丈夫」
星火が俺の事を見てきたので、大丈夫だという意味も込めて片手を挙げる。
夜奈は、魔術がメインで少しなら魔法も使えるらしい。それも、さっきのアイコンタクトで伝えてきた。今も目が合った。なになに、「魔法を教えて欲しい。」だって?まぁ、いいけど。それと、夜奈は身長は一番小さい150cmより、ちょっと大きいくらいか。だが、一番グラマラスなのは夜奈だ。普通なら、アンバランスに見えても可笑しくないのに、全然そうは見えない。不思議なものだ。そして、ダウナー系美少女だ。不思議ちゃんだけど...
全員の自己紹介が終わったところで、星火が声を上げる。
「あっ、そういえば...」
「どうしたの?星火ちゃん?」
ある一点を指さして言う。
「配信つけっぱなしだったわ。」
「あっ...」
星火と海が顔を青ざめる。だが、しかし!そんなこと俺は想定済みのため話してもいい内容しか話していないのだ。
「ん、大丈夫。月夜は気付いてる。」
いつの間にか、俺の隣を陣取り手をニギニギしている夜奈が気持ちドヤ顔をしながら言う。
...めっちゃ可愛くない?連れて帰ろうかな?日向も喜びそうだし。
「ちょっと、なんで夜奈は月夜の手を握っているのよ?」
ここでまた、話が脱線し始める。
「ん、何となく?」
だが、ここは我らが海さん。
「それよりも!今は配信を止めないとだよ!」
脇道にそれかけたが、海が何とか軌道修正をしてくれた。
「いや、俺は配信したままでもいいぞ。」
「「ダメ(よ)!時間が惜しい(のよ)!!」」
二人が食い気味に拒否しつつ、ドローンを弄って配信を終了する。
どうなるんだろうな...この後...
これから、起こるであろう事に少し憂鬱になりながらため息を吐くのであった。
「よしよし」
頭を撫でられる。
...夜奈は連れて帰るで決定!
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あとがき
新しい小説も執筆し始めたので、ことらの方も読んでくださると嬉しいです。
学園一の美少女に「助けて」と言われたので、全力で応えたいと思います。
https://kakuyomu.jp/works/16818093087779289198
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