家業と推し達

第9話 超越種ときどき推しグループ

 こっちも、よろしくお願いします。


 このS級探索者は、一階層しかないE級ダンジョンすら攻略できません。~実際は、一階層ボスが強すぎる件~


https://kakuyomu.jp/works/16818093088673468830


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 夜の7時過ぎ


「なんかさー、このアニメの妹ちゃんとシンパシー感じるわ」


 俺の膝の上に座りながらアニメを見ている日向がが、そんなことを言う。


「あー、確かに。ブラコンも一緒、気分でお兄ちゃんやらお兄ちゃん様、兄者なんて呼んでくるのも一緒だしな。」


 確かに、結構似てる部分あるよな。


「これでは、妹の裸見ても興奮しないって言ってるけど実際どう?」


「さっきまで、一緒に風呂入ってたから分かるやろ。」


「一切反応していなかったね。お兄ちゃんが健常者だった安心したけど、なんかムカつきはするよねー」


「理不尽過ぎて草」


 実際、こいつは俺が風呂に入っていたら九割の確率で風呂に入ってくる。残りの一割は母さんと入っている。一人ではいることは絶対に無い。


「てか、羞恥心どこに忘れたの?」


「それを言うなら、お兄ちゃんこそじゃん。」


「いや、ほとんど毎回お前が入ってくるから慣れてんだわ。」


「私だって同じだし。慣れって恐ろしいね。」


 しみじみとした顔で言うが、


「そうだとしても、毎回体洗わそうとしてくるのは違くない?」


 毎回の疑問をぶつけると、顔をわざとらしく赤らめ、自分の体を抱きながら


「お兄ちゃん色に染めて欲しいもん」


 って言うが


「全く響かんし興奮せんなぁ」


「はぁ!?そこは押し倒して、「俺色に染め上げてやるよ(イケヴォ)」で言うべきところだろうがよ!」


 なんて、戯れていたらスマホに着信が入る。


「すまん。少し出るわ。」


 と言い、日向を持ち上げてソファに降ろす。


「うぃー。じゃあ、私は色々と寝る準備でもしておきますか。」


 と言いつつ、立ち上がる日向を尻目にスマホを見ると鈴谷さん(俺専属の協会所属の方)からの電話だった。


「はい。もしもし、夜月です。」


「遅くに電話してしまい申し訳ありません。夜月さん。」


「いえ、構いませんよ。この時間に電話してくるということは夜月家に依頼ということですか?」


「はい。東京都目黒区のCランクダンジョンの7階層で超越種のゴブリンが出たとの情報が入りましたので連絡させて頂きました。」


 その言葉を聞いて、ダンジョンに行くための準備を開始する。


「ちなみに、情報源はどこですか?」


「あるダンジョン配信者の配信です。私の方でも配信を確認したので間違いはありません。」


「状況は?」


「まだ、死人は出ていませんが、時間の問題かと。」


「分かりました。すぐに現場へ行きます。」


「すみません。よろしくお願いします。」


「任されました。」


 電話を切り、魔法陣の構築を始める。


「お兄ちゃん、私も今見たけど状況は最悪だよ。今回は全員Aランクで相手も超越種に成り立てでゴブリンだから、何とかって感じ。」


 さっきまでの緩みきった雰囲気では無く、抜き身の刃の様な気配を纏った日向が報告してくれる。


「ありがとう。大体1時間半で帰ってくる。じゃ、行ってきます。」


「分かったよ。行ってらっしゃい!」


 転移の光が収まったと同時に、目の前にゴブリンの腕が迫ってくる。


「疾ッ!」


 それに合わせ、居合の要領で刀を抜刀するも避けられ距離を取られる。


 追撃は...無しだな。後ろに居るのは三人か。その三人を覆うように結界を構築し、治療魔法を施す。


《多次元結界》 《再生》


 この結界なら、ゴブリンとドンパチ殺り合っても問題ないだろう。それにしても、酷い怪我だったな。三人とも全員が四肢のどこかしらを欠損させていた。


「大丈夫か?」


 声をかけても返事がない。気配的に呆然としてるのかな?目で見て確認したいが、流石に超越種相手には目を離したくない。


「チッ...こいつ遊んでやがったな」


 不愉快だな。何かする暇も与えずに殺すか。


「《秩序掌握》」


 そう唱え、を解放する。それに伴い、瞳の色が黒色から金色に変化する。


 ゴブリンの態度が豹変する。先程までニヤニヤとした厭らしく口元を歪めていたが今は、完全に殺気立ち、こちらを脅威として認識している。





 ゴブリンの姿が掻き消た。


「危ッ!」


 後ろの三人の誰か叫んだ!


 刹那、刀命の顔面にゴブリンの拳が突き刺さり、頭が爆ぜるかと思われた。


 しかし、結果として刀命は何事も無かったかの様に立っている。


 逆に、ゴブリンは頭と胴が泣き別れしたと思われる。


 不自然なのはそこだけでは無い。先程まで、刀を右手に持っていたはずなのに。いつの間にか鞘に戻されており。ゴブリンの胴体の方は消失し頭だけが刀命の足元に落ちているのだ。


 確かに、ゴブリンが刀命の顔面を殴った。殴られた音は刀命とゴブリンだけで無く、後ろに居る三人もちゃんと聞いているのだ。その証拠に三人は完全に混乱している。




「思ったより柔かったな。権能の方が強化されているタイプだったのか?だとしたら、この判断は正しかったな。」


 混乱している、三人に改めて声をかける。


「大丈夫か?」


 あれ?この三人...


「星海の夜...」


「僕達を知ってるの?」


「星海の夜」とは

〈株式会社 Dらいばーず〉に所属している、

明空あけぞら 星火せいか

天泣そらなき うみ

眠日ねむりび夜奈よな

 の三人のグループ名だ。

 で、今喋ったのが「天泣 海」である。



 ちなみに俺の推しグループである...







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