第8話 愛してるぜ!お兄ちゃん様!!

 刀命が配信をしている時に、夜月家ではこんなやり取りが起こっていた。


「皆、早く!お兄ちゃんの配信始まるよ!」


 そう言って、夜月家一同を急かしているのは、「夜月やづき 日向ひなた」である。刀命の一つ下の15歳であり、同じ高校の一年生である。そんな彼女は自他ともに認めるブラコンであり、「お兄ちゃんが居るから恋人なんて要らない。」と公言しているくらいである。


 もちろん、刀命同様オタクである。


「よし!僕は何時でも準備オッケーだよ!」


 ハチマキにペンライトを装備してソワソワしながら、そう言ったのは、刀命の父親である「夜月 蒼弥そうや」である。


「あぁ、まだかしら?早く刀命ちゃんの晴れ姿を見たいわ!」


 刀命ちゃんLOVE♡と書かれたうちわを両手持ちしているのは、母親の「夜月 香織かおり」である。


「二人とも落ち着かんかい。みっともない。」


 なんて言いながら、「孫命!」と背中に書かれた特注の着物を着て刀の鯉口をカチカチしながら忙しなく歩いているのは我らが祖父「夜月 源創」である。


「おじいさんが一番落ち着いた方がよろしいですよ。」


 流石の余裕を見せつけながら、全員分のお茶と茶菓子を持ってきているのは「夜月 詩乃しの」である。だが、しっかり一番画面が見やすい位置に席を取っているのはご愛嬌だ。


 そう、この一幕から分かる通り。夜月家は全員もれなく刀命がなのである。


 そして、それの筆頭が刀命の妹たる日向なだけなのである。


 〜時は過ぎ配信後〜


 全員が号泣である。


 理由はご存知の通り。セリアが刀命の力を見ても恐れずに歩み寄り、彼を支えたいと本心から言ったからである。


 本当は全員心配していたのだ。刀命が拒絶されてしまうのではないかと。しかし、現実はセリアが熱烈なラブコールをするという結果であったため安堵し心から喜んでいるのである。


 そして、こうなると夜月家は止まらない。


 全員が、セリア・アーシェリアを刀命の将来のお嫁さん候補として考えているのである。ちなみに、彼女でお嫁さん候補はである。


 これは、本人達の意思次第だが、「場合によって二人とも受け入れる。」という考えを、これまた全員が持っている。


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 Side:日向


 うーん、将来的にお義姉ちゃんが二人になるのは確定事項で。


 最後まで居た視聴者は、セリアお義姉ちゃんと私達含めて四人。その内一人は多分、もう一人のお義姉ちゃんで確定だと思うなぁ。


 お兄ちゃんも大変だなぁ。これからアピールが激しくなりそう、いや確実になるよねぇ。


 頑張ってね。お兄ちゃん!


 んー?でも一つに気になるなぁ。あと一人は誰だろう?でも、なんか面白くなる予感がするんだよねぇ。


 もしかしたら三人目のお義姉ちゃんかも!!だとしたら嬉しいなぁ!


 お兄ちゃんはの為に頑張っている。そんなお兄ちゃんが苦しい思いをするのは間違ってる!絶対!!


 だから、私は大好きなお兄ちゃんに誰よりも幸せになって欲しい!!


 私達家族みたいに、心からお兄ちゃんを愛せる人がいないとダメ。


 本当なら私だけでお兄ちゃんの支えになりたい。


 けど、それは無理な話。


 お兄ちゃんは優しいから、私達家族には心配かけない様に見せてくれない傷もある。


 私がお兄ちゃんの妹である以上、悔しいけど...お兄ちゃんが負った全ての傷を癒すことが出来ない。


 だから、お義姉ちゃん達には期待している。


 どうか、お兄ちゃんの傷に寄り添って、癒して下さい。




 お兄ちゃんを幸せにしてあげて下さい。




 ドアの開く音がした


「ただいまー」


 お兄ちゃんが帰ってきた!


「おかえりー!愛してるぜ!お兄ちゃん様!!」


 と言って、思いっきり刀命に抱き着いた。


「ただいま。俺も愛しているよ。日向」


「へへっ。よせやい!照れるじゃんか!」


 彼女はとても切り替えが早かった。先程まで浮かべていた浮かない表情一転。今の彼女は、愛しの兄に抱きしめられ、とても幸せそうな太陽の様に輝いた笑みを浮かべていた。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 あとがき


 新しい小説も執筆し始めたので、ことらの方も読んでくださると嬉しいです。


 学園一の美少女に「助けて」と言われたので、全力で応えたいと思います。


 https://kakuyomu.jp/works/16818093087779289198

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