第7話 世界一と元世界一

「え?ホントに?」


 ちょっと、いや、かなりマズイぞ。傾国の美女と言っても過言では無いくらいの美貌に、抜群のプロポーションで、とても健気である。したがって、セリアさんは男性ファンが多い。そうなってくると、駄馬...ユニコーン共も一定数いる訳だ。


 結論:炎上確定


 炎上まではしないやろって思うやん?セリアさんがここまで男性に興味を持ったことは知る限り初めてだ。多分、俺の強さの秘密的な何かに興味と、武人としての敬意だけだと思いたい。


「アーカイブは消しておくか、仮面も付けておこう。」


 ria:`どうしてですか!?私は刀命様のお顔をもっと見ていたいです!それに、この配信を何回も見直すつもりでしたのに!´


「それと、セリアさん。俺の事は月夜って呼んで下さい。」


 俺は炎上の火種にはなりたくない。だから心を鬼にする!


 ria:`イヤです!それに、セリアではなくてリアとお呼び下さい!さん付けと敬語も不要です!´


 気に入られすぎでしょ...なんで?


「分かった。リア、妥協点を提示しよう。この配信を限定公開にしてリアだけが独占できるようにしよう。そうすれば、俺の本名と素顔を知っているのはリアだけになる。そして、この配信のURLを送るにあたって協会を通して送るが、リアが欲しいものを一つ添付して送ろう。」


 ria:`その条件を飲みます!むしろ、そちらの方がいいです!´


 リアって、意外と子供っぽいところもあるんだ。


「交渉成立だな。」


 ria:`では、月夜様の個人的な連絡先が欲しいです!´


 連絡先でいいのか。俺としても推しの連絡先がゲットできるのは嬉しいな。


「分かった。URLと一緒に送らせてもらう。」


 ria:`これで、何時でも月夜様とお話が出来ます!´


 可愛いかよ...友達が欲しかったのかね?


 ria:あの、個人的なやり取りの時は本名でお呼びしてもよろしいですか?´


 ヤバッ...これは勘違いする。しかも、普通はこんな感じじゃなくて、もっとツンツンしているしギャップあり過ぎでしょ。


「全然いいよ。」


 ria:`やった!ありがとうございます!´


 和む〜!推しが尊い!うわ〜優越感凄い!


「それより、リアは俺のどこに興味を持ったの?」


 ここまで気に入られるのには何かしらの理由があるはずだよな。


 ria:`私に全てを視せて下さった時に、貴方の強さと優しさ。ですが、その代償かのようにも思えるほどの心の闇。貴方が何を経験し傷付き、そうなってしまったのかまでは分かりません。ですが、それでも揺るぐことの無い信念。それに、私がセリア・アーシェリアと知っても、今までの人のように下心を抱くことも打算を練ることも無く。ただ1人の普通の人として扱ってくれました。そんな貴方だからこそ、共に歩み、支えたいと思いました。´


 マジか...そこまで評価されているのは嬉しいし照れ臭いな。


「でも、リアだと知って炎上したくないって思って俺の正体を隠す判断をしたのは、リア的にはどうなんだ?」


 ria:`ふふっ。貴方は自己防衛ではなく。私が非難されることを懸念したのでしょう?私の事を純粋に心配してくれる方なんて家族以外だと貴方が初めてなんですよ?´


 バレてんのかよ。


「はぁ、そこまでバレているとは恥ずかしいよ。」


 ria:`耳、真っ赤ですよ?可愛いです!`


「うっせ」


 あー!もう!いいようにあそばれてる気がする。


 ria:`それなら、配信はもう終わっても構いませんよ?´


 俺としては、それはありがたい申し出だか


「いいのか?まだ魔法について教えられてないけど...」



 ria:`はい!月夜様の連絡先も貰えると約束もしましたし、何時でもお話してもいいとも言われましたので!´


「分かった。魔法についても、何時でも教えるから好きなタイミングで連絡してくれて構わないからな。」


 ria:`はい!遠慮なく連絡させて頂きますね!´


「おう!それじゃ、配信を終了するわ。またな。」


 ria:`はい!またお会いしましょう!´


 そう言って、配信終了ボタンを押す。


 この配信を通して、推し、いやリアと友達になることが出来たと思ってる。リアも俺の事を友達と思っていてくれているなら嬉しいな。


「さて、帰るか。」


 抑えていた力を一気に解放し魔法陣を構築する。ダンジョンから地上には通常転移は出来ない。その理由は、ダンジョンは地上とは別次元に存在するため。通常の転移は、同じ次元内でしか転移出来ないからだ。だが、俺にはダンジョン内と地上を転移する術がある。


 魔法陣の構築が完了した。


 魔法名を唱え魔法を発動する。


《次元跳躍》


 この魔法は、俺が使う魔法の中でもトップクラスで難しいものだ。制御をミスると次元の狭間に閉じ込められてしまう。


 初めて使った時は、冷や汗をかきながら恐怖を抑え込んで使ったもんだ。それが、今ではコンビニにアイスを買いに行くくらいの感覚で使ってるから感慨深いものだ‪。


 家の玄関に景色が切り替わる。


「ただいまー」


 あ、ちなみに竜共は全く相手にならんかった。


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