第6話 魔術とは
Side:セリア
もう、心がぐちゃぐちゃで自分でもどんな感情なのか、さっぱり分かりません。
彼の圧倒的な強さを目にし、尊敬の念を抱いたかと思えば。
その強さ故の孤独さを知り。胸が張り裂けそうになり。
月夜様は、いえ「夜月 刀命」様は私に「ありがとう」と言ってきました。
その時点で、私は涙を流していました。
私の眼は相手の感情さえ知ることが出来ます。この一連の出来事の最中、刀命様は私に視える様に障壁を解除して下さいました。とても嬉しく思いました。
ですが、刀命様には
――がありませんでした。
最初は、障壁を一部だけ解除しているのかと思いましたが、――以外は全て存在を視ることが出来ました。
そして、心には大きな、とても大きな傷を負っていました。――が存在しない事と関係があるのでしょうか?
私に全てを視せてくれた嬉しさと、貴方が背負っているものの苦しさ。
そして、一刻も早く貴方に会って伝えたいことがあります。
「私は、貴方の――――――――」
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Side:刀命
ria:`刀命様、魔術を見せて貰っても構いませんか?´
riaさんから、魔術を使って欲しいというリクエストを貰った。riaさんは大切な視聴者だし、この人のお願いは全力で叶えたい。
「いいですよ!どのような魔術をみたいですか?」
riaさんがコメントを打っている間に魔術の説明をしよう。
魔術とは、魔力を使い理を捻じ曲げ現象を起こすことを言う。なので、魔術によって引き起こされた現象は通常の自然現象とは違う性質を持っていたりする。
例えば、魔術で火を起こしたとする。火とは通常、酸素によって燃え続けるだろう?だが、魔術で起こした火は水中や土中、真空中であれ燃え続ける。代わりに魔力が消費されるが。
こういった具合に、魔術による現象とは我々の感覚とは乖離しているんだ。
そして、魔術を使う方法だが3種類ある。
一番楽なのは、詠唱による魔法行使だ。だが、それには気付いていると思うが欠点がある。声に出さないといけない。そのため、時間も掛かるし、相手に対応させる時間も与える。ついでに、一番燃費が悪い。詠唱魔術が通用するのは探索者学校に通いたてでギリギリと言ったところだろう。まぁ、応用として脳内詠唱魔術(使用人口は一番多い)も存在するが、こちらは次の魔術行使までの橋渡しのようなものだ。
次が、想像魔術だ。これはそのままだ。イメージして魔術を行使するだけだ。これが意外と難しくてな。詳細なイメージを脳内に描き、それが発動するのを確信していないと不発に終わって無駄に魔力を消費するだけだからな。例えば、火魔術を想像魔法で使うために火球を想像し、発動を完全に確信したとしよう。するとどうなるか、火球のプロジェクションマッピングの完成だ。想像魔術は、魔術の詳細な威力、軌道の設定、出現座標などの具体的なイメージが必要だからな。まぁ、難しい代わりに威力や消費魔力は詠唱魔術と比べ物にならないくらい優れているけどな。
最後は、構陣魔術。またの名を魔法だ。勿論これが一番難しいが全てにおいて前者のものとは一線を画す。先程、魔術は理を捻じ曲げると言ったが、構陣魔術、魔法は理を新しく限定的にだが創り出すことが出来る。例えば、時間を操ったり、死者蘇生したり、長距離転移したり、多分皆が今思いついた事は大抵出来ると思う。使い方は、魔力で魔法陣を寸分違わず描き、数多存在する魔法陣の中から、自分が望む効果のものを組み合わせ崩壊しない様に重ねなければいけない。イメージとしては、河原の石を適当に100個渡されて全部を縦に積んでね。って言われているようなものだ。それ位、絶妙なバランスの上に成り立つものだ。ちなみに、魔法陣は誰もが知ってはいるんだよ。意識を奥深くまで沈めたら勝手に欲しい魔法陣が浮かんでくるようになっているよ。でも、寸分違わず描く事が出来ないだけなんだよね。昔の人は、完璧な魔法陣を思い浮かべることを〈想起する〉なんて言ってたらしいよ。要するに、完璧な三角形なんて見た事無いし、描ける人もいないでしょ?それをするのが、構陣魔術または魔法だよ。
これを戦闘中に行うなんて普通は無理だよ。でも、俺の推しの「セリア・アーシェリア」さんは普通に行っている。魔術の才に関しては、絶対に勝てないと思っている。多分付きっきりで教えたら数ヶ月でこされると思うわ。それ位、セリアさんは凄い。流石俺の推し!
ria:`では、お言葉に甘えさせて頂きます。〈大規模高火力殲滅魔法〉と〈長距離転移魔法〉この二つの魔法を教えて下さい。´
あれ?riaさんって...まさか、セリアさんなのか...?
そういえば、配信始めた時から感じる視線然り。〈断天〉を放った時の反応然り。今も魔法を教えて欲しいと言っている。
...あれ?
「魔術じゃなくて魔法?」
ノータイムで
ria:`はい!そうです!´
「もしかして、riaさんって、セリア・アーシェリアさんですか?」
ria:`はい!私の事を知っていてくださるなんて!とても嬉しいです!´
「...マ?」
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Side:セリア
「きゃーーー!刀命様が私の事を知っているですって!」
足をジタバタさせながら、真っ赤な顔を両手で覆って歓喜の声を上げる。
「アナ!聞いた!?今!刀命様が私の名前を呼んでくださいました!!」
微笑ましいものを見る様な表情で、実際微笑ましいと思っている。アナスタシアが
「ええ、聞きましたよ。良かったですね。リア様」
「はい!あぁ、今日はなんて幸せな日なのでしょう!これだけで五回はイケちゃいます!」
彼女は一体ナニが五回もイケるのか、甚だ疑問だが刀命の配信の裏では、このようなことが起こっていたのだった。
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あとがき
本作をお読み下さり誠にありがとうございます。
読者様より質問を頂戴しましたので、それにお答えするという形で近況ノートを更新致しました。
是非、これからも本作をお読み頂けると幸いで御座います。
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