第5話

八人が影に打ち勝ったことで結束を強め、彼らの連携は少しずつ成熟していく。次のミッションが発生するや否や、各自が以前よりも自信を持って準備に取りかかった。


ある日、遠く離れた北海道の村から緊急のSOSが入った。その村では、山奥で遭難者が続出し、目撃された「謎の巨人」の存在が村を恐怖に陥れているという。八人はその知らせに顔を見合わせ、遠隔から村を救うための作戦を立て始めた。




束がまず声を上げた。


「この巨人、私たちの力で見つけ出してやるわ!」


彼女の勇気ある宣言に、仲間たちは士気を高め、遠隔でのサポート体制を整えることになった。それぞれが自身の強化された部分を生かし、北海道の現地を見守りつつ協力し合うことに決めた。




幸は、その鋭い視力を活かして、北海道の山岳地帯を遠くから見通すことができた。彼の目には、普通の人間では捉えきれない山奥のわずかな動きや光の反射が見えていた。


「皆、今すぐ共有するよ。山の東側、岩陰に何か動く影が見える!」


彼の情報を受けた力男は、臆病な自分を奮い立たせ、冷静に地図を確認しながら遭難者がいそうなエリアを推測し始めた。彼は他の仲間の支援を受けて、慎重に指示を出す。


「その影が巨人なら、遭難者たちはその反対側に避難しているかも…少しずつ範囲を絞ってみよう!」




勇気は、聴覚の鋭さを活かし、遠くから微かな山の音を聞き取ろうとしていた。山中で発生している不規則な音、そして人々の助けを求める叫び声が風に乗って届く。


「みんな、聞こえるか?東の方角から人の声が聞こえる。近くに誰かいるみたいだ!」


彼の頼もしい指示により、仲間たちはその方角に意識を集中させ、村の安全が確保できるように作業を進めていった。




静六は、地図や方位、現地の気候情報を冷静に分析し、他の仲間たちに最適な行動を提案する役割を果たしていた。


「幸が発見した影と勇気が聞いた音、それらをつなげて考えれば…遭難者は山の東側の谷間にいる可能性が高い」




現地の村に向かっていた終と大美も、遠くからの情報により、村人たちに安全な避難経路を示し、可能な限りの援助を始めた。


ニノは、その厨二病的な発想で「巨人の影」にロマンを感じながらも、村人たちの恐怖に耳を傾けた。


「ふはは…巨人など、我が闇の力で退治してやる…!あ、でも安全第一で!」




そして、八人の力を合わせたことで、遭難者たちは無事発見され、巨人の影もただの錯覚であることが確認された。人々の救助が進む中、村人たちは彼らの迅速な対応に感謝し、八人もまたチームの結束を深めることとなった。




この出来事は、彼らが互いに遠く離れていても協力し合えるという確信を生み出し、全国での「見えないヒーロー」としての活動にさらなる自信をもたらすものとなった。

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エイト 蛇トロ @ageagesan

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