第7話 保安官と神父による逮捕劇

列車の中で一同が話し合っていると、朝靄あさもやが消え去り、物々しい雰囲気に包まれていることが分かった。犬を連れた保安官が上空に向かって、猟銃をドンドンと撃って、静粛にするように脅している。傍には、神父を連れていて、自白を強要しようとするのは明白だった。眼鏡をかけて、薄気味わるい男である。

上空から見れば、列車が停止した所で、村人たちが取り囲み、馬車が停まっている。

保安官は、腹が突き出ていて、猟銃を肩に乗せ、

「いいか、静かにするんだ。大人しく従うなら命だけは助けよう」

全員に手錠を嵌め、手際よく鍵をかけていく。

ムスカ=スートラが大人しく従う素振りを見せ、クウヤもそれに続く、ジャマンサも諦めた様子で、アンドロは手を高く上げ、保安官から注意を受ける。澤田さんとギルバード先輩も睨み合いながら、背中を銃の柄で押されて、足早に歩き始める。

魔法学園の6人は現行犯の容疑で逮捕され、馬車に乗せられ、身柄を拘束されてしまった。

保安官は馬に鞭を打ち、隣りに神父が座って、徐々に速度を上げていった。小麦畑に轍を刻みつつ馬車は、彼らを見せしめにするように、村役場を通り過ぎ、保安官の詰め所まで一直線に向かった。途中、村人から冷たい視線を投げ掛けられ、教会で神父を降ろして、6人は拘留所に荒っぽく押し込まれて、鍵を掛けられた。

そこには干し草以外、何もなく、薄暗かった。小さなランプが揺れていたが、火は付いていない。

一同は、後ろ手に錠前を掛けられたまま、廃屋の拘留所に差し込む日射しが足元を照らしていて、少し、眠り込む者まで現れた。これまでの非日常で、疲れ果てたに違いなかった。

しばらくして、アンドロが呟いた。

「拷問って爪を引き剥がされたり、棒っ切れで叩かれたり、バケツで水をぶっかけられたりするんだろうなぁ」

しかも、おれは、女だったりするなぁと云わんばかりだ。

それを見かねて、クウヤの鞄から顔を出した「おてんば」がいて、

「ニャ~オ」とだけ同情していた。

差し込む日射しが、色濃く、赤っぽくなって日が傾いたことを知らせていた。

そのとき、鍵が開いて、保安官が入り口に立ち塞がった。

「おい、お前ら、さっさと起きろ。ここはホテルじゃないんだ。大人しく取り調べに応じるなら、今回の犯罪も見逃そう」

さっきの神父も連れ立ってのことだった。保安官の飼い犬が激しく吠えている。

無理やり取り調べ室に、6人が押し込まれると、保安官は、書面にサインして、判子を慣れた手つきでドンと押した。

厳しい取り調べが始まるに違いなかった。

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