第5話 風紀委員、ギルバード現る
列車泥棒の犯人に脈があるか確認したアンドロは、顔を振って
「生命反応なしだな」
皆々は、肩を落として、何れも、これからの行方を思案しながら、不安な面持ちに落胆していた。そして、立ち去ろうとしたとき、呼び止める声があった。
「やぁ、風紀が乱れているな」
みんなは驚いて、白い手袋をして紅茶を飲む風紀委員を見つけた。
「ギルバード先輩、どうしてここに?」
澤田が急いで応えると、
「どうもこうも、やれやれだよ」
クウヤは「詳しく聞かせてもらえますか?」
風紀委員は、
「いや、登校しようと思って、急いで列車に飛び乗ったら、こんな所まで来てしまったという具合なんだ」
代表して澤田さんが「それで?」と続きを尋ねた。
「私は、一種、何というか要人であってね。職員会議に呼ばれていたんだ」
みんなが顔を見合わせ、次の言葉を待った。
「それで、列車泥棒の被害に遭った。だから、何というの?ものすごい心にダメージを受けているんだ」
澤田さんは、「話の途中ですが、すみません。手短にお願いします」
「そうか、会話は短くだね」
「えぇ」
「4人の学生が魔方陣を描くように立ち、そして、5人目の澤田くん、君が移動魔法を唱えて、私を、始業ベルに間に合うように、学園に送ってくれという話なんだ」
みんなは、喜べばいいか、怒ればいいか、戸惑っていた。
しかし、澤田は強張ったまま続けた。
「ワームホールが開かないと、学園には、遅刻すると思うんですよ」
「だから、風紀が乱れてると教えただろう」
そう言い放つと、ギルバード先輩は、カップの紅茶を飲みほした。
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