第6話
私と母が家に戻った次の日も、その次の日も気がついたら小動物の死骸が玄関先に置かれていました。
ツウちゃん曰く、2日目の夜はこっぴどく叱られたにゃあ。なんていってましたね。私も自室からお向かいさんの様子を窺っていたのですが、夜の10時になっても2階の窓からはうすぅく明かりが漏れていたのを覚えています。そして時間が経つにつれカーテンに映る3人の影がだんだん小さくなっていくような気がして、なにか申し訳なくも思ってました。
次の日の朝でした。その日も死骸があったのですが、玄関先に置いたであろう犯人を見つけられず。下士官さんが母と玄関先で会話をしていました、どうも謝りに来たようで、母も見張っていてくれるだけで心強いのだからと、頭を下げる下士官さんに色々と言葉をかけていました、そんな言葉が私が居た部屋にも聞こえてました。しばらくして、それはお昼前だったかなと思います、ツウちゃんが家に来て庭を見させてくれって母に言ったんです。私もその日は珍しく気分が回復して、2階にある自室から出て1階に降りてきた所で母に嘆願するツウちゃんを見ました。
たぶんあの3日間、まともに寝ていなかったんでしょうね。それはもうひどい顔で、年ごろの乙女が目の下に隈を作って、肌もガサガサ、髪はボサボサ。激しく落ち込んでいた一時期の私よりもひどい顔で。母もそんなひどい顔をしているツウちゃんを思ってか、庭を見ることはもちろん構わないですが、しっかり休みをとって下さい、なんて言っていました。ツウちゃんもツウちゃんで私は頑丈にできてますから、お気遣いありがとうございます、なんて返事してました。
あ、そうそう。母に謝りに来ていたっていう下士官さん。どうも今回の一件、事件性が出てきたっていう話を母にしに来たのもあったみたいで、珍しく母と一緒に摂った昼食の際にそう聞いたんです。
どうも、小動物の死骸の中に王家が保護している野鳥が含まれていたようで。軍の人だけでなく他からも見張りの人員が増えることになったからと、人員も増えれば犯人も直ぐ捕まえられるだろうと、そんな話でした。
でも、事件は応援が来る前に、母と話をした翌々日の朝にツウちゃんが解決してしまったんですけどね。
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