第119話
コロナ感染を実名で公表したことが話題となり、僕のインタビューが新聞記事に掲載されたのは映画祭の直前のことだった。繋がりは広がっていくものであり、この新聞記事を見たテレビ局から取材の依頼が来た。2局とも夕方の情報番組の中で特集され、僕のコロナ体験談は様々な人が見ており、コメントもいただいた。岐阜の祖父母も偶然テレビを見ていた時に、我が孫が映っていることに驚き、母に電話をかけたほどだった。この体験談が、更なる注意喚起になればと僕は切に願っていた。
パフォーマンスグループの1期生メンバーとして共に活動をしたMOから、大学の合格が決まったという話を聞いたのはそれから数日経った3月初めのことだった。グループを卒業してから、疎遠になるメンバーがいる中で、MOとは定期的に連絡を取り合っていた。東京の大学に行く前にもう一度会おうと、僕の事務所を来訪してくれた。その後食事をし、自分が成人になったら一緒に飲もうと約束をした。
MOが東京に旅立っていき、新学期を迎えた4月上旬。僕は専門学校時代の友人であるUYとFAと久しぶりの再会を果たした。この1年、コロナによって毎年恒例に行ってきた飲み会が開催できなくなっており、飲食店では営業時間短縮や会食は4人以内という制限はまだ続いていた。そんな中で集まったのがこの3人という顔ぶれだった。
専門学校の3年間という青春の日々を一緒に過ごし、卒業から丸4年が経過。コロナ襲来という思いがけない展開の中、約1年ぶりの再会に僕は嬉しかった。早く営業しているお店で15時から飲み会をスタートし、そこから何軒もはしごして、最後はテレビ塔の下でコンビニの缶チューハイを飲みながら、夜桜を楽しんだ。以来、この3人のグループLINEが出来て、名前は『夜桜飲み会』となった。
3人での楽しい飲み会の余韻に浸りながら、僕は本番を2週間後に控えた成果発表会に向けて稽古を重ね続けた。
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