第118話

約1ヶ月近くの軟禁生活を終え、2月に入ると僕は仕事復帰をした。延期になった自主映画の音源収録も無事に終えた。後は監督が最後の編集を行い、2月中旬に控える監督の過去の映画作品を上映する映画祭での上映を待つのみとなった。

その週末、僕は約1ヶ月ぶりにアカデミーレッスンにも復帰した。コロナ感染で1ヶ月会っていなかったこともあり、メンバーの子どもたちは、僕の顔を見るなり勢いよく群がってくれた。1ヶ月、つまり約4回も稽古を休んでしまっただけに、遅れた分を取り戻さなければいけない。自宅療養中に台本を見ていたのでセリフは頭に入っていたが、それでも実際現場で芝居をするとなると、既に他のメンバーたちには演出がつけられていたので、少しでもみんなの足を引っ張らないようにと必死だった。

また、稽古を一緒にしていくと、アカデミーが始まって約1年の子どもたちの成長を感じ取ることができた。これから数を重ねていけば、みんなにとって良い経験値になるだろうと思った。


2月中旬、名古屋市内の映画館で監督の映画祭が行われた。その場には、監督の別作品に出演したという、かつて共に運営を行ったTHや、パフォーマンスグループ時代に共にメンバーだったMSも来ており、久しぶりの再会を果たした。また映画祭には、我が母も同席。僕の作品を見るのは、初舞台のミュージカル以来となる。

映画祭が始まり、いくつかの短編作が上映された後、僕の主演作が上映された。50分近い尺を見る中で、「あのシーン、ごっそりカットされてる」と思った瞬間が何度もあった。また、ほぼ自分が出ずっぱりなので大きなスクリーンに自分がデカデカと映し出されているのは見ていて恥ずかしたったし、作品の中とは言え母親に自分のキスシーンを見られるのはとても抵抗があった。上映後には、出演者の登壇と集合写真撮影が行われた。

映画は無事に上映が終わり、直近ではついに成果発表会を残すのみとなった。

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