第115話
自主映画の撮影の追撮と前後した10月下旬、僕は自宅庭に6畳のプレハブ事務所を新設した。地元の知人である総合建設業の社長さんに、地面の基礎工事からプレハブ倉庫の設置までをお願いし、ついに事務所オープンとなった。事務所には、仕事用のデスクと来客応対用のテーブルとイス、書類やファイルを入れる棚、複合機などオフィス用品一式を揃え、以前にも増して仕事に集中できる環境となった。
仕事に没頭している最中、パフォーマンスグループで共に1期生メンバーで活躍をした中学教師をしているIRから連絡があったのは11月下旬のことで、僕は打ち合わせのために勤務先の中学校を訪れた。IRは中学1年生の担任をしており、職業講話の講師として広告業界のことを生徒たちに話してほしいと言うのだ。コロナのことはあったが、ここ数年は講師依頼もあったことから、僕はその話を引き受けた。
12月に入り、アカデミーの運営会議が行われた。アカデミー指導から間もなく1年、KKは年度末あるいは4月上旬に1年のレッスンの成果を見せる発表会をしようと提案。早速レッスンで、発表会のお知らせがなされて、レッスン内容も発表会に合わせたものとなった。演目は希望制で、歌、ダンス、演技と全部希望するメンバーもいれば、僕のように演技に特化するメンバーもいた。メンバー一同、発表会に向けて張り切っている様子が伺えた。
12月下旬、冬休みの直前に職業講話は開催された。用意した資料をもとに前半は業界の話、後半はグループワークを行った。意外だったのは、事前アンケートで『広告と言えば何を連想する』という質問に対し、『YouTube』と答えた生徒が多かったこと。それを踏まえながら、チラシやホームページ、DM、デジタルサイネージなど、様々な広告の話を伝えた。中学生を前に話す機会は初めてだったので、オファーをしてくれた共にグループで活動したIRには感謝しかなかった。
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