第111話

広島から戻ってきて数日が経ち、2020年の4月という新年度を迎えたが、世間一般は新型コロナウイルス感染症という見えない脅威と戦う日々がずっと続いていた。4月7日に埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県に対し5月6日までの緊急事態宣言が発出されたことで、アカデミーレッスンでも急遽臨時休校としたうえで、KKを中心に運営陣と出席できる講師陣で臨時の会議が開催された。まだ愛知県では緊急事態宣言が出ていないが、これから状況が悪化することを考えて、しばらくレッスンそのものを休止することになった。レッスンが中止になっただけでなく、学校においても臨時休校措置が取られたことで、子どもたちも居場所がなくなっているようで不憫でならなかった。

9日後、KKの予想が当たったように、全都道府県に対して緊急事態宣言が発令された。会議やイベントは当然の如く軒並み中止になり、僕も部屋にこもって仕事をする日々が続いていた。


その状況下でも、KKのカフェは何とか4月中にオープンすることができたが、隣町に住む僕は感染拡大の影響のこともあり、オープンへの出席を控えることにした。

コロナの影響は家族にも影響があり、母がパート先をコロナによる業績不振のために解雇されてしまったのだ。母以外にも同じパート仲間の人が何人も解雇されたことを聞かされ、企業においてもコロナの影響が間違いなく出始めているものだった。また、弟が勤務するコンビニでも飛沫対策としてのパーティションが設置されたようで接客がしづらいことを聞かされた。

専門学校時代の親友のYMが、勤務先を退職して独立するにあたって参考に話を聞きたいと連絡をしてきたこともあったが、こちらもまた緊急事態宣言のこともあり、二人で会う約束は延期することになった。が、その僅か数日後、僕やYMが脳腫瘍で入院したことを知り、唖然となった。

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