第110話
祖父母の家の生活は、朝8時前後には朝食を食べ、12時前には昼食を食べ、18時頃には夕飯を食べるという規則正しい生活だった。普段生活リズムがバラバラな僕にとっては、体内時計が狂いそうなスケジュールだったが、こういう生活が本来なら健康的で理想だと思った。祖父母の家にお世話になって2日目は、本当にゆったりとした1日だった。11時を過ぎれば祖父が昼食の支度をし、15時前後にはお菓子とコーヒーという『おやつの時間』、それが終わればもう祖父は夕飯の支度をしていた。
また、僕が今回広島を訪れたのには、もう1つの理由があった。それは祖母の母、つまり僕の曾祖母のお墓参りをすること。晩年は認知症を患い、祖母が付きっ切りで介護をしていた時期もあった。その祖母が亡くなったのは、僕が小学校の卒業式を翌日に控えた3月下旬の夜のことで、この春で十三回忌を迎える。祖母自身は、すっかり十三回忌のことを忘れていたが、僕は確かに覚えていた。
広島滞在最終日、叔母が遊びに来た。この叔母とも5年ぶりの再会となる。叔母の車で僕たちは、山間の中にある曾祖母の墓を訪れた。その足で僕らは尾道市内に買い物へ出かけて食事をしたが、やはりコロナの影響もあってか客足は少なかった。
外出から戻ると、祖父は和室で昼寝を始め、僕は祖母や叔母と共にコーヒーを片手に長々と談笑した。あっという間に夕方になり、帰りは叔母に車で福山駅まで送ってもらった。帰りの車の中でも、叔母との会話は途切れることなく、叔母から言えば兄にあたる我が父の話や初日に泊めてもらった従姉の話題も出た。コロナの影響が広がると、次にいつ広島に来られるか分からず、またこちらに来るときは連絡をすると叔母に約束をした。
夕方の新幹線で名古屋へ戻ったが、この翌日、僕はテレビで国民的コメディアンがコロナで亡くなったという衝撃のニュースを目にし、ますますコロナの存在を脅威に思うようになった。
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