第101話

10月最終週の土曜日、ついに市民ミュージカル本番の日を迎えた。1年以上、ミュージカルや舞台の本番をいくつも経験してきたが、この市民ミュージカルは、午前公演と昼休憩を挟んだ午後公演という初の2ステージだった。

午前公演の開場を前に、キャスト陣は一斉にステージに集まった。おなじみの円陣も組むことになったのだが、久しぶりに僕が掛け声を担当することに。キャストとスタッフの気持ちが一つになり、ついに開演となった。午前公演が終わって昼休憩をしていると、僕はこの日の夜に打ち上げをする話を聞かされた。全体打ち上げは日を改めて開催することを僕はKKから聞かされていたので、これは参加できる人だけの非公式のものであった。だがKKにとっては、自分の知らないところでしかもメンバー脱退を既に表明しているADが仕切っていることが気に入らないようだった。


午後の公演には、神奈川からNRとTHも駆けつけてくれた。無事に2ステージが終わり、撤収作業が終わった後、僕らは思いがけない方の挨拶を受けることになった。それは、今回の作品の原作小説を執筆された作家ご本人だった。とても感動したというご挨拶をいただいたことは、我々キャストスタッフ一同にとっては光栄なことであった。

解散の時、KKが挨拶をする前に僕は突然リーダーとして挨拶を振られた。何も考えていなかったが、自分の想いを口にして何とか言葉を述べることができた。打ち上げがまだあるとはいえ、本番はこれで最後。RAは泣いたまま、僕から体を離さなかった。僕は彼が泣き止むまで、ずっと抱っこをしていた。

その夜は非公式の打ち上げが開催され、僕も参加した。メンバーたちと久しぶりにいろんな話ができてこれでひと段落と思ったが、明日には台風で延期になったハロウィンライブが控えていた。明日が終われば、もうこのグループでステージに立つことはないのだと、ふと寂しい思いがあった。

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