第100話
KKにメンバーを卒業する旨を伝えたが、案外驚いた様子もなく、むしろそうなるだろうと予想していたようだった。この市民ミュージカルの後の予定が何もないことから、もうグループとしての活動が終わる頃であると、KK自身も思っていたらしい。
その日のうちに、AYからLINEが届いた。僕がKKに卒業する旨をKKに伝えたことを聞いたようで、メッセージを送ってくださったのだ。演劇界は広く、これから様々な活動の場があるからと背中を教えてくださった。
あっという間に10月に突入し、ついに本番まで1ヶ月を切った。だが一つ心配なことがあり、それは本番2週間前に控えていたハロウィンライブである。天気予報では台風が接近しており、開催そのものが危ぶまれた。結局台風接近に伴い、ライブの中止が決定。その後、主催者側と相談の上、ミュージカルの本番翌日の延期が決まったことを後になって聞かされた。
本番1週間前になり、僕は高校時代の同級生メンバーとついに集まることになった。3人の内2人は中学1年からの付き合いである。高校時代はほぼ毎日3年間クラスで顔を合わせていたが、こうして4人顔を揃えたるのは成人式以来である。カラオケと食事をしたのだが、楽しい時間というのはあっという間に過ぎてしまった。
その翌日は、市民ミュージカルの最後の稽古が開催。台風の延期により、2週間ぶりの稽古だった。基本的には通し稽古の繰り返しである。まもなく本番が近くなっていることを実感しているのだが、その中で小学生キャストの一人であるRAが、本番が終わると離れ離れになってしまうことが寂しいと言い出した。確かに前のようにメンバーたちだけの公演とは違い、一般公募で集まったキャストとは公演が終わったら会うこともなかなかになくなってしまう。年の離れた弟のように可愛がっていたが、小学生ながらもそういう感情になる感受性の豊かさに関心するものがあった。
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