第96話
お盆直前から、観光協会委託事業の市民ミュージカルの稽古が始まった。NRとTHが神奈川に行ったのを機にメンバーを卒業したことに伴い、再び僕がメンバーリーダーとして復帰、そして副リーダーには今回のミュージカルで主演をすることになったNYが就任した。稽古初日は出演者や主要スタッフの自己紹介と、キャスト同士の親睦を深めるための簡単なレクリエーションだった。小学生から自分たちの親世代に至るまで、今回は幅広い年代30人がキャストとして顔を揃えた。
出演者スタッフ一同は共通でオリジナルTシャツを購入することになるのだが、唯一2期生メンバーであるADだけはシャツを購入しないと言ったことで、KKとの関係性はますます悪化する一方だった。夏のミュージカルの時でも、当日パンフレットに演出助手としてのクレジットを拒否したこともあり、この2人の溝を埋めることはもうできないものだと実感していた。
初日稽古が終わり自宅に戻るや否や、着替えてすぐに家族に駅まで送ってもらい、僕は電車で名古屋まで向かった。この日、毎年連休前後で行われている専門学校の友人たちの飲み会が開催されていたのだが、さすがに初日稽古を休むわけにはいかず、稽古が終わり次第向かうと友人たちに話していたのだ。
名古屋方面の最終列車で、名古屋駅に到着したのはちょうど日付が変わったタイミングだった。既に二軒目の飲み会を終えた友人たちと集合し、僕にとっては一軒目、友人たちにとっては三軒目の居酒屋へ足を運び、四軒目は市内に住むUYのマンションで開催。トランプをしながら酒を飲み、気が付いたときには眠ってしまい、朝を迎えていた。
翌日もミュージカルの稽古を昼から控えていたこともあり、僕はマンションを後にした。そしてその足で、稽古が行われる公民館まで向かった。本格的な稽古ではなく、この日はまたレクリエーションが中心だったのが救いであった。
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