第94話
7月に入って間もなく、秋の観光協会委託事業市民ミュージカルの一般公募キャストオーディションが開催された。オーディション前日までその申し込みは絶えることなく、合計で63名の方が参加。下は小学5年生、上は60代後半、まさに老若男女問わずという状態であった。
オーディションは午前の部と午後の部と別れ、主に午前は小学生から高校生までの主に学生が多い印象で、午後は成人の方が多く見受けられた。63人ものオーディション参加者の対応をするのも大変で、当日はKKやAYは審査員席から離れられないため、僕や神奈川から駆け付けたNRとTT、そして運営のTHとKKの娘さんであるOKの5人で実質的に会場を回す状態となった。
参加者の中には、やはり長年劇団をやっていた方や三味線を子どもの頃から習っている方、モデルの方、高校で演劇部を経験していた方、オペラを専攻している現役音大生の方など、まさに芸達者な顔ぶれ。また、ミュージカルが好きだから、原作者の作品が好きだからという純粋な気持ちで、保護者に勧められてエントリーした子どもたちも数多くいた。
オーディションが終わり、選考会議がそのまま行われた。63人の中から、約半分を決める人選には時間がかかった。今回は原作小説があるため、元のイメージもあり、KKやAYだけでなく市役所の担当職員の方も踏まえて、協議がなされていた。
翌日、通常通りの稽古が開催された。僕もこちらでは音響オペレーターをお願いされているため、この頃から稽古にも出席するようになっていたのだが、この日前日のオーディション結果と、先行して開催されたメンバーの配役結果が発表された。主人公の女子高生を演じることになったのは、現在バンドのほうでも練習真っ只中のNYと決まった。演技力も確かで、一同納得いく結果だった。そして僕は、今回の規模と運営の仕事も考慮して、アンサンブル、つまり作中における端役と決まった。
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