第93話
NRを始めとしたバンド活動の方は練習を重ねていたようで、こちらもマネージャーを任せられた以上は何かPRできないものはないかと、メンバーで撮影したというアーティスト写真を使って、宣伝用フライヤーデータを作成した。8月のミュージカル本番前日がバンドステージの日ということもあり、バンドとミュージカルの2つの稽古を掛け持ちしているメンバーたちをフォローするのが今の自身の役目だと思い、事務仕事や当日の機材についての業者への確認などの業務を担当した。
バンド練習に同席したり、ミュージカル稽古を見学する日が続いていたのだが、メンバーたちの励む姿を見て、ふと僕はもう一度このメンバーと同じ舞台に立ちたいと思うようになった。しばらくして、観光協会委託事業として10月末に開催される市民ミュージカルのメンバー先行オーディションが開催されることが決まったのだが、そこで僕はKKにメンバー復帰とオーディション参加の意向を伝えた。
6月末になり、現在在籍中のメンバーの大半と僕がオーディションに参加。しかし、そこにNRとHTの姿はなかった。この春に就職したHTは、会社の研修期間を終え神奈川支店に配置が決まり、交際中のNRと共に神奈川へ引っ越していったのだ。そのため、8月の本番が終わるまで、NRとHTは週末だけ愛知に戻ってくるというハードスケジュールになっていた。
オーディションが終わって数日後、僕は8月のミュージカルの音響オペレーターをやってほしいと、演出を担当するKKから頼まれた。記録用に撮影した映像を見ながら、音出しのきっかけを教えてもらい、以後僕は稽古場に顔を出すことになった。
その一方、秋の市民ミュージカルの演出を担当するAYが、一般公募から来たオーディション参加者の情報を整理していたのだが、広報や新聞の効果もあってかこの時だけで既に40人以上の参加者がエントリーしており、規模の大きなものになる予感がした。
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