第32話

しかし麗は平気、と功太の心配をよそに階段を降り始めた。



「だって近くまで行きたいし!」



先に数段降りた麗が促すように振り返ると、功太も追って階段を降りた。



波打ち際まで来ると、麗は急かされたようにサンダルを脱いだ。



裸足になると今度はデニムジーンズの裾を捲って、海の中へ入って行く。



打ち寄せる波と追いかけっこをするように、麗はパシャパシャと足を濡らしてはしゃいでいた。



「気持ちいいー!」



それを見ていた功太もスニーカーを脱いで海に足を浸けた。

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