第33話

確かに、砂浜に熱せられた足裏が海水ですっと冷やされて気持ちいい。



そうしてる間に陽は沈み、辺りは薄暗くなった。



焼けた鉄を水に浸けたように日没の太陽は完全に地平線に沈み、まだ燻るオレンジと夜の青とが混ざり合ってなんとも言えない色をしている。



二人は波に濡れないように、少し離れた砂浜に腰を下ろした。



砂はまだほんのりと温かかった。



「時間、大丈夫?」



「平気。あたし1人暮らしだし。…功太は?」



「俺も大丈夫。」



その言葉を聞いて麗はホッとした。



―もう少し、一緒にいたい。

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