第29話

夕陽を浴びて逆光ではあったが、優しく微笑んでいるのがわかった。



彼は基本的にいつも笑っている。



決してへらへらしてる訳でも馬鹿にしてる訳でもなく、穏やかな性格がそのまま顔に滲み出ているのだろう。



「うん、楽しかった。功太、またどこかいこうよ」



「ん、行こう?」



歩きながら麗は功太が自分に歩幅を合わせてくれていることに気がつく。



ちらりと彼を見上げると、視線に気づいて優しい笑顔を向けてくれた。



麗もふっと目を細め、また正面に視線を戻した。



―なんだろう、彼といるとなんだかとても落ち着く。

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