第16話

ふと、机の上の写真立てと目が合い、麗はベッドから身を起こしそれを手に取った。



いつもは伏せてあるのだが、たまたま起こしてあったようだ。



そこに写っているのは幼い麗と肩を抱く両親。



どこにでもある、ありふれた幸せそうな家族写真。



しかし麗はこれを見ているとたまに頭痛に襲われる。



頭痛がするとき、決まって脳内に映し出される映像がある。



急ブレーキの音、母親らしき女性が自分の名を叫んで、覆い被さる温かい影…



麗はぎゅっと目を閉じた。



こんな恐ろしい記憶、出来たら思い出したくない。



麗は写真立てを一度抱きしめ、机に伏せた。

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