第9話
麗は気づいて顔を上げ、差し出された缶と少年の顔を交互に見た。
「それとこれ、交換。炭酸飲める?」
うん、と頷き缶を受け取り、自分の持っていたのを渡してから「でも」と付け足したが、少年の言葉が続きを遮った。
「俺が急かしてしまったからさ、ごめんね?」
「ううん、違う。あたしが勝手に―」
「あ」
それは違うと顔を上げた麗と真っ直ぐ目があって、少年は悪戯っぽく微笑んだ。
「やっと目、合った」
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