第8話

だがオレンジの味が口の中に広がった瞬間、麗は眉をひそめすぐに缶から口を離した。



それに気づいた少年が声を掛ける。



「どうしたの?」



「……酸っぱい…」



麗は口を手の甲で押さえてもごもご言いながら俯いた。



「じゃあなんでオレンジジュースなんて?」



少年は首を傾げながら微笑んだ。



「…なんとなく…勢いで押して…」



恨めしそうにオレンジジュースを見つめる麗を見て、少年は自分の飲んでいた炭酸飲料の缶を差し出してきた。

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