第38話

脇腹の触手で八つ裂きにしようと尖らせたそれを凄い速さで環に伸ばす。




が、小柄な環はひょいひょいと的確にそれをかわし後方に飛び退く。




「人を棄ててしまったのか…」




環は悔しそうに眉を潜めると体勢を立て直した。




ギチギチと甲殻類が軋むような音を出し、化物は環の方へ体を向ける。




と、化物は環の背後に座り込む三瀧を見つけた。




(…まずい!)




化物が少し間を置いたのが、新たな標的を見つけたからだと気づいた瞬間、環は三瀧を庇うように体を投げ出した。

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