第36話

彼女が化物へと変化を遂げると風はピタリと止んだ。




「間に合わなかったか…!」




環は悔しそうにギリ、と奥歯を噛むとスーツのジャケットから素早く錠剤を取り出す。




そこへ三瀧が勢いよくドアを開けて戻ってきた。




「大丈夫か環ちゃん!!…ってえええ!?」




カーテンが開いて街灯の灯りが差し込む部屋は先程とうって変わって凄まじく荒らされ、小さな環の向こうには見たことのない気色悪い生き物が蠢いている。




その光景に三瀧は驚きのあまり尻餅をついた。

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