第30話

「け、結婚の約束してたんだ、あいつと…。でもあいつが束縛するようになって…俺が浮気して相手に子供が出来たから別れるって言ったら…そ、そこから飛び降りして…」




青年はガタガタ震えながら指先だけをベランダへ向けた。




「浮気相手の女が殺されてから、夜になると「お前も許さない」って聞こえてきて……俺死にたくないよ!」




青年はさらに体を縮めて震え上がる。




「…自業自得じゃねぇか。てかその声もお前自身が作り上げた幻聴なんじゃないの?」




三瀧は呆れたように息を吐くと煙草の箱を取り出し、縦に揺らして出た1本をくわえた。

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