第26話

痴話喧嘩をしながらアパートに到着し、3階のとある部屋の前で立ち止まる。




「ここだ」




「ねぇ環ちゃん、ホントにそれ持ってくの?」




三瀧が指差す環の手には使い込まれた木刀が握られていた。




環は何も言わず呼び鈴を押す。




「黒スーツに木刀ってカチコミにしか見えないんてすけど…」




三瀧は小声で呟くと環の隣で同じようにドアを見つめた。




ややあって、カチリと音がしゆっくりとドアが開く。

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