第22話

「それ、なんだ?」



坂口が奈月の腕の中のサラダの入ったビンを指差した。



「あっ、これはジャーサラダって言って…下にドレッシングを入れてあるので、振って食べてください」



「なんでビンに入ってるんだ?」



「もー坂口先輩はトレンドに疎いんだから。最近はメイソンジャーっていうのが女子の間で流行ってて、サラダだけじゃなくて手作りジュースとか小さいパスタとか、そんなのも持ち運ぶのが人気なんです。ホラ、結構みんな持ってる」



奈月が小さく指差す先は女子だけのテーブルで、1人1つずつ思い思いの食材を入れた透明なビン容器が並んでいた。



「確かに持ち運び易い、か。でもなぜ透明なビン、なんだ?」



「もーう!オシャレだからですよ、オシャレ!シャレオツ!もうちょっとトレンドに敏感になればモテるのにぃー」



奈月はじれったいような哀れむような顔でジャーサラダを傾けた。

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